終了した展覧会・イベントです
[画像:ウェンディー・ホワイト 197 Madison. 2012. Acrylic on two canvases, inkjet print on vinyl. 2438 x 3048 x 76 mm ©Wendy White. Photo by Thomas Mueller]

ウェンディー・ホワイト 「レインボー・ブリッジ」

Kaikai Kiki Gallery
終了しました

アーティスト

ウェンディー・ホワイト
古代スカンディナヴィアの神話において、虹の橋(rainbow bridge)は地上と神の領域とを結ぶ道でした。 本展においてそれは、アスリート的な表現とアーティスティックな創造を表すメタファーとなっています。 アスリートはアーティストと同様に、コンマ数秒の即興的なパフォーマンスを求めて、数えきれないほどの時間をかけて孤独なトレーニングに励みますが、その瞬間を捉えられるか逃してしまうかは、そのときどきにかかっています。 そういう一瞬は確固としたアイデアであると同時に、過ぎ去っていく束の間のひらめきでもあります。アスリートはしばしば、ほとんど無意識に近い「ゾーン」という状態、すなわち何も考えることなくパフォーマンスを行うことができる状態について口にします。 これをアーティストのスタジオに置き換えると、スキージャンプの選手がまさに飛び立つ瞬間のようなものだといえます。 つまりそれは確かに捉えられると同時に捉えることができず、実現不可能な離れ業でありながら絶対的な必然でもある、ということです。《Elan(Sara Takanashi)》(2015)は、このような状態を捉えようと試みた作品です。 ここに描かれているのは、スキージャンプのチャンピオンがまさに飛行している最中、つまり純粋な表現の瞬間です。 それとは逆に《Fischer(Ernest Yahin)》では、選手がまさに転倒している最中、すなわち劇的な失敗の瞬間が記憶として切り取られていますが、失敗もまた、鍛錬と技術の習得というプロセスとは切り離すことのできない要素です。1970年代から80年代にかけて活躍したレーシングドライバーたちを描いた複数のキャンバスから成る3点のポートレート・シリーズは、ドライバーたちをネオンカラーの虹のような色の帯を背景にくっきりと際立たせ、男性が支配するカーレースの世界に身を置いた女性ドライバーたちが持っていた不屈の精神と、その存在の珍しさに、トリビュートを捧げる作品です。 そして角に目をやると、キャンバスとキャンバスの間にあるスペースに架かる光沢のある黒い虹が、写真によって捉えられた別々の瞬間を、視覚的かつ物理的につないでいるのがわかります。《197Madison》(2012)は、インスピレーションの一部をミシェル・ド・セルトーの著作に得ています。 その中でド・セルトーは、街を歩くということは目に見えない詩的な小道の層を積み重ねていくことである、と述べています。 この作品は、ニューヨーク市のとある食料雑貨店の看板を収めた写真とをグラフィティに影響を受けたモチーフやかろうじて判読可能な文字と組み合わせ、ニューヨークという街の、自然発生的なものもあれば押し付けられたものもある、視覚的な層の重なりを称えています。《Jeans》(2017)は、ばらばらに分解したメンズのデニムパンツを使った自由造形のウォール・インスタレーションです。 この作品はアメリカのシンボリズムをめぐる瞑想であり、そこでは、荒っぽく耐久性のある存在が天空の星たちへと姿を変えています。 ジーンズを使ったその他のキャンヴァス作品においては、ジーンズという素材は風景、およびある方向に向かって筆でおかれた塗料の代わりとしてそこに存在しています。 ポロックを思わせる絵具の飛び散りは、公式に認定されている身振り(訳注:アクション・ペインティングの「ジェスチャー」を指す)や、着用によって生じた自然な傷みへのレファレンスであり、そこにカラフルな色の帯や空のイメージを足すことによって、アメリカに特化されたノスタルジーの隣に、更に雰囲気的な要素が並べられるかたちになっています。「レインボー・ブリッジ」は、ホワイトによる「Fotobild」、「Multiple-canvas」、「Portraits」そして「Jeans」というシリーズ(2012~2018)から村上隆がピックアップした作品と、今回東京で初めて展示される4点の新作とで構成されます。カイカイキキギャラリーでの初の個展を通じて、ウェンディー・ホワイトという作家の脈動する世界観をお楽しみください。

スケジュール

2018年6月28日(木)〜2018年7月18日(水)

開館情報

時間
11:0019:00
休館日
月曜日、日曜日、祝日

オープニングパーティー 2018年6月28日(木) 18:00 から 20:00 まで

入場料無料
会場Kaikai Kiki Gallery
http://gallery-kaikaikiki.com/
住所〒106-0046 東京都港区元麻布2-3-30 元麻布クレストビル B1F
アクセス東京メトロ日比谷線広尾駅1番出口より徒歩8分、都営大江戸線・東京メトロ南北線麻布十番駅7番出口より徒歩13分
電話番号03-6823-6038
関連画像

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