掛川孝夫 「3.11 繋ぐ記憶」

ノイエス朝日

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疾風が死んだ。掛川孝夫が長い東京暮らしから心機一転、故郷に近い富岡市神農原にアトリエを建てて移り住んだときからの愛犬である。子供のいない夫婦には仔犬から育てた疾風が、どれほど心を慰めてくれたことか計り知れない。10年を超える年月、アトリエでの主人の孤独な制作現場に立会い、主人の胸に埋め込まれた人工弁にも気を遣ってきた。人は年を経るに従い否応なく多くの死に出会うものだが、掛川の場合はそのどれもが濃密だった。両親、先妻、友、そしてわが子のような愛犬。死を直視する画家がそこに生まれた。掛川孝夫の制作が、3.11を契機にその犠牲者への弔いへとモチーフを変えたのは周知のことだ。ひとりひとりの犠牲者の物語を綴った書物を、掛川ほど読み込んでいる作家はいないかもしれない。2万人にも及ぼうという犠牲者の個々の物語を胸に刻みながら、掛川孝夫はキャンバスに向かう。その一方で、制作のための日々の営みも入念で、構図や構想の下書きは膨大だ。近年は画面が水平方向に長大化しており、画家としての力量が問われる大きさになっている。本展でも6mを超える作品が2点展示されるが、息苦しくなるような密度の濃い作品群に圧倒される。一体、どれほどの人がここに描き込まれているのだろう。併せて展示される小品も見応えがある。どんな作品にも手を抜かずに魂を込める掛川孝夫の真骨頂が、多様な表現と共に見て取れるからだ。間違ってはいけない。ここに描かれているのは死ではない。生があってこその死である。掛川孝夫が見つめるものは、ひとりひとりの人生であり命なのだ。

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スケジュール

2019年10月05日 ~ 2019年10月13日
開館時間 10:00〜17:00

アーティスト

掛川孝夫

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