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[画像: ©Varda Caivano]

ヴァルダ・カイヴァーノ 展

小山登美夫ギャラリー六本木
終了しました

アーティスト

ヴァルダ・カイヴァーノ
彼女の作品は、まるで自然や風景を想起させるような、多種多様な色彩や線、筆触の何層もの重なりあいで構成されています。そして意図的に画面に余白が残されており、未完にとどめたようなその描き方は、観る者の想像性をかき立てる豊かさや、限りない空間性を感じさせます。色彩は、初期の鮮やかなものから、前回の2016年の個展では「グレーペインティング」と称するグレー、ブルー、ブラウンを基調とした抑制された色合いに変化し、今回の新作ではまた赤、黄色、緑などの鮮やかな色彩の作品が描かれています。ペインティングに描き込まれた鉛筆のドローイングの線も大きな特徴です。それはキャンバスの枠の中にさらなる枠のような機能を与えており、まるで一作品の細部にいくつもの作品があらわれているようにも見えます。カイヴァーノは、さまざまな観察、熟考、発見、決断、計画や即興を繰り返しながら、色、線、素材、筆触と余白で奥行きや密度などを作品に表わしていきます。そしてやがて彼女の思考の痕跡と作品自身が発しているような声や会話と重なる・・この関係性が育つまでのある一定の時間を経て、ひとつの作品が完成します。作品の色彩や線、筆触の何層もの重なりは、その時間の経過を表わしているかのようです。カイヴァーノ作品とは、このような制作プロセスそのものであるといえ、以前作られた作品や同時に制作されている作品同士の連鎖も生じさせています。このように画面に立ち現れる効果を感じながら、時間と作品空間の接点を定着させようと真摯に表現された作品は、物質性と幻想性が同居した、まさに抽象絵画の可能性を追求しているといえるでしょう。彼女の作品はしばしば音楽や演劇の時間の流れとの共通性を見出されます。美術評論家の清水穰氏は次のように評しました。「カイヴァーノのコラージュはより流動的な、音楽的なものである。楽器がときどき弱音のアクセントをいれる他は沈黙(といっても環境音)が支配する音楽の楽譜のようだ。」(清水穰「移行期の終わり 『ヴァルダ・カイヴァーノ』展」美術手帖、2017年3月号)作家自身、作品と鑑賞者の関係において、次のように語っています。「鑑賞者の眼前にひろがる絵画空間は(描き手によって)すでに決定されたものではなく、鑑賞者の目のなかにおいて解明されるものです。時折、私が自分の絵画を、転移の空間(トランジション・スペース)、あるいは内的空間(インナー・スペース)と呼ぶのはそうした理由からです。つまり、絵画とは再現/表象(リプレゼンテーション)ではなく、詩や音楽における上演(プレゼンテーション)のようなものです)」(ヴァルダ・カイヴァーノインタビュー「想像を掻き立てる終わりのない絵画」聞き手:島田浩太朗、美術手帖、2017年2月号)彼女のスタジオで完成された作品は、制作した瞬間には何か別なものに変貌し、さらに展示空間において、作品と展示空間の壁面、照明などが相互作用することで作家自身、そして観客によって新たな面を発見されるでしょう。カイヴァーノの作品をどのように作品を見、感じるかは鑑賞者の自由に委ねられています。3年ぶりの小山登美夫ギャラリーでの本展、この3年の間に、カイヴァーノの作品はどのように変化し、また今回はどのように六本木のスペースと呼応していくのでしょうか。

スケジュール

2019年10月11日(金)〜2019年11月9日(土)

開館情報

時間
11:0019:00
休館日
月曜日、日曜日、祝日

オープニングパーティー 2019年10月11日(金) 18:00 から 20:00 まで

入場料無料
展覧会URLhttp://tomiokoyamagallery.com/exhibitions/vardacaivano2019/
会場小山登美夫ギャラリー六本木
http://www.tomiokoyamagallery.com/
住所〒106-0032 東京都港区六本木6-5-24 complex665 2F
アクセス東京メトロ日比谷線・都営大江戸線六本木駅1b出口より徒歩2分、東京メトロ南北線・都営大江戸線麻布十番駅7番出口より徒歩8分、東京メトロ千代田線乃木坂駅5番出口より徒歩11分
電話番号03-6434-7225
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