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齋藤春佳 「立ったまま眠る / 泳ぎながら喋る」

Art Center Ongoing
終了しました

アーティスト

齋藤春佳
春佳は、Ongoingの平日のキッチンスタッフである。カレーを作ったり、コーヒーを入れたり、ケーキを焼いたり。それなりに忙しい時もあるけれど、彼女の周りにはいつもゆっくりとした時間が流れている。お客さんの少ないお昼すぎに、春佳の作る賄いのお昼ご飯をカフェの机で一緒に食べることもよくあって、なんてことない日常のことや、作家の話なんかをする。僕は食べるのがとても早くて、大抵は彼女の食事が終わる前に自分の食器を洗い場に運んでいく。
また春佳は、旦那さんである池ちゃんと音楽ユニットをやっている。ギターとボーカルの池ちゃん、バイオリンとコーラスの春佳。目の前で演奏がはじまると、普段聴くことのあまりないバイオリンの生音に僕はいつも感動してしまう。ただ大抵、ビールをしこたま飲んで酔っ払っているから、その感動を綺麗に忘れてしまう。
そして春佳は、アーティストである。絵を描いたり、文章を書いたり、映像を撮ったり、インスタレーションを組んだり。メディアや手法が異なっても、彼女の作品には共通の透明感があって、そこには位相の異なる様々な時間が定着している。彼女が見たこと、感じたこと、聞いたこと、想像したこと。場所も時間も異なる様々な体験が、透き通った空間に同時に漂っている。
カフェで働く春佳、池ちゃんと演奏する春佳、作品を作る春佳。僕が知っているのはそれぐらいだけれど、本当はもっともっと多くの春佳が存在しているのだろう。でもそれらがいくら無数にあったとしても、当たり前だけど、春佳という一人の人間として通常は認識されている。またあるいは、時間とは同じ方向に一定に流れ続ける、不可逆性のものなのだろうか。ある人が体験したこと、感じたこと、想像したことは、その人がいなくなったとしても、その場所にずっと残り続けることはできないのだろうか。
彼女の作品を見ているといつもそんな空想が頭に浮かんでは消えていく。空間の中でバラバラに、ただし、お互いにバランスを保ちながら漂いつづける様々な存在、記憶、思考。今はもうそこにはなくなってしまった無数の時間を想像すると、急に涙が出るほど悲しい気持ちに襲われることもあるけれど、でもそれらが完全になくなることなんて本当はないんですよと、春佳が教えてくれているようにも感じるのだが、でもそれは結局どの春佳なのだろうか。


[関連イベント]
1. トーク「『描かれたプール、日焼けあとがついた』とする」
日時: 3月7日(土)18:00~
(トーク終了後にオープニングパーティー)
ゲスト: 大木裕之、長田奈緒、高石晃(中継)、松本玲子
参加費: 1000円(軽食+1drink+入場料)
2. Pre Ongoing School
日時: 3月15日(日)15:00~
料金: 1500円 (ケーキとドリンク付き、先着30名様)
3. トーク「読むこと/見ることを生きる」
日時: 3月21日(土)19:00~
ゲスト: 保坂和志(小説家)
参加費: 1000円(1drink+入場料)
4. トーク「日焼けの輪郭」
日時: 3月22日(日)18:00~
ゲスト: 長田奈緒、高石晃(中継)、冨井大裕、松本玲子
参加費: 1000円(新聞+1drink+入場料)
※イベント詳細は公式ホームページよりご確認ください。

スケジュール

2020年3月4日(水)〜2020年3月22日(日)

開館情報

時間
12:0021:00
水曜日・木曜日・金曜日は16:00〜18:00休憩
休館日
月曜日、火曜日

オープニングパーティー 2020年3月7日(土) 19:00 から 21:00 まで

入場料400円(セレクトティー付き)
展覧会URLhttp://www.ongoing.jp/ja/artcenter/gallery/index.php?itemid=772
会場Art Center Ongoing
http://www.ongoing.jp/
住所〒180-0002 東京都武蔵野市吉祥寺東町1-8-7
アクセスJR中央線・総武線・京王井の頭線吉祥寺駅北口より徒歩9分
電話番号0422-26-8454
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