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タカザワケンジ 「郷愁を逃れて」

IG Photo Gallery
終了しました

アーティスト

タカザワケンジ
IG Phto Galleryでは2020年9月8日(火)よりタカザワケンジ展「郷愁を逃れて」を開催いたします。タカザワケンジは写真評論家として活動するかたわら、写真について考えるための手段として写真展を開いてきました。今回展示する「郷愁を逃れて」は1995年から97年にかけて撮影した写真群をもう一度見直し、構成したものです。
当時、作者は会社員として働いており、写真は会社内で同僚や上司を撮影したものです。写真に写っているのは1990年代初頭にバブル経済が弾けたあと、経済的な低迷期が長く続くことを予想することなく、鈍感にすごしている会社員の姿です。撮影から約四半世紀という時間がたち、歴史の一部となったイメージをもう一度見ることは、過去の価値観を検証することになるでしょう。
同様の試みは、今年6月に展示発表した「バブルのあとで」でも行われました。展示するイメージには重複するものもあります。しかし2つの作品はタイトルが異なっていることからもわかるように大きな違いがあります。「郷愁を逃れて」では、写真に写っている人びとの顔がはっきりとわからないように画像修正が加えられています。
人は「人」に興味を持つ動物であり、写真に人が写っていれば、まず人に目が引き寄せられます。写真に写っているのは実在する「誰か」であり、その人の容姿や表情に好悪を感じたり、キャラクターを読みとったりもします。
写真の主役は必然的に人間となり、服や背景はその引き立て役に後退します。彼らの人生の物語を想像することは、過ぎ去ってしまった時代への郷愁へと容易に接続します。「バブルのあとで」は結果として25年前を郷愁とともに振り返る展示になりました。
しかし、ノスタルジーは写真を見る楽しみの一つではありますが、すべてではありません。また、情緒的に写真に向き合うことには過去を肯定したいという欲求を満たすだけに終わってしまう危険性があります。  「郷愁を逃れて」は1990年代半ばから後半にかけての東京の、とある会社で起きていたできごとを、郷愁を回避して、歴史的な1コマとして検討することはできないだろうか、という問いから始まりました。
写真に写った人びとの顔を曖昧にすることで、個人の物語から歴史へと想像をめぐらせることができるのではないか。また、25年前と大きく変わったことの一つに、写真に撮られる側の権利──肖像権──が広く認められてきたという事実も無視できません。写真に写された顔は誰のものなのかという問いもこの作品から想起されるでしょう。
現在、私たちはコロナ禍という地球規模の危機の中にあります。多くの人にできることは外出を控え、人との接触を控えることです。そんな日常の中で部屋を整理し、過去の写真を見直した方も多いはずです。立ち止まり、考える──いまはそんな時期なのかもしれません。時はどんなことがあっても流れることを止めず、すべての写真にはたった一度きりしか起きなかった瞬間が写されています。そこにどんな意味があるのかを、展示を通じて探る試みです。

スケジュール

2020年9月8日(火)〜2020年10月3日(土)

開館情報

休館日
イベントにより異なる
備考
開館時間 12:00〜20:00、日曜日・月曜日・祝日は休館
入場料無料
展覧会URLhttps://www.igpg.jp/exhibition/takazawakenji20.html
会場IG Photo Gallery
https://www.igpg.jp/
住所〒104-0036 東京都中央区銀座3-13-17 辰中ビル302 石田法律事務所内
アクセス東京メトロ日比谷線・都営浅草線東銀座駅A7出口より徒歩3分
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