このたび「OIL by 美術手帖」ギャラリーでは、10月16日(金)〜11月1日(日)にかけて、1988年生まれの画家、山崎由紀子の個展「崩壊する絵画」を開催いたします。京都出身の山崎は、学生時代にイラストレーター・デザイナーのヒロ杉山のもとでデザインを学び、現在は東京を拠点に作品を発表しています。
山崎はデジタルネイティブとアナログ世代の間に生まれ、ガラケー、スマートフォン、ロースペックなPC、そしてMacBookとあらゆるデジタルガジェットの進化、それに伴う情報取集におけるスピードの変化を体感した世代の作家です。
山崎の制作プロセスは、PCで画像を検索することから始まります。彼女はPCやスマホで集めた画像をコンピュータ上で再構築し、それをペインティングという形で作品に落とし込みます。すなわち、彼女の作品の中に描かれているモチーフは必ずどこかに存在するもの、もしくはデジタルの世界の中で見つけることのできるものです。そんな既視感を抱かせる平面的な世界はいわゆる“センス”(物事の微妙な感じや機微を感じとる能力判断力、感覚)によって再構築されたビジュアルであり情報でもあります。
その過程で集められる画像や動画、GIFは、時代とともに刻一刻と変化し、彼女のモチーフは、ファッション、音楽、アニメーションなどのサブカルチャーから政治的な要素まで様々です。山崎は、三次元の世界から二次元のフラットな世界へ、その年代の象徴を閉じ込めていきます。現代人の日常風景とも言えるスクリーンの中の景色。それを山崎は切り貼りし作品を制作しているのです。
本展では、BAF STUDIO TOKYOディレクターの細野晃太朗がキュレーションを行い、新作のペインティングやプリント作品を発表します。山崎がその独自のセンスを使い、今という時代を切り出した唯一無二の表現をぜひ会場でご覧ください。