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村山悟郎 「Painting Folding」

Takuro Someya Contemporary Art
終了しました

アーティスト

村山悟郎
Takuro Someya Contemporary Artは12月19日(土)より、村山悟郎の個展「Painting Folding」を開催いたします。村山は2013年の企画展「淺井裕介、大山エンリコイサム、村山悟郎|生成のビジュアル–触発のつらなり」をはじめ、TSCAではグループショウの企画や参加をしてきました。本展覧会がTSCAでの初めての個展となります。

絵画を学んだ村山悟郎(1983-)は、「いかに世界は創発するか?」という現代の生命科学論的な思索を、身体や行為をともなった芸術実践へと拡張するアーティストです。
作家自身によって有機的に麻布を織り進め、織り上げられてできた描く領域へ線描を施すといった、その膨大な繰り返しによるペインティング作品で活動を開始し、その代表作となる3メートル近い織物の⼤型絵画2作品が東京都現代美術館へ収蔵され注目を集めました。
その後もセルオートマトン・ドローイング、要素をカットアップし組み替えた画像や映像など、発展する村山の多様なメディアによる作品群は、いずれも再帰的なルールを設定した上で、進化・学習・自己組織化など生命的なプロセスやパターンを組み込んできました。村山は、現代科学の認識論において重要な位置を占めるコンピュータ・シミュレーションを中心的モチーフとし、「質料」をともなった制作(ポイエーシス)へと展開しています。2019年にあいちトリエンナーレで発表された、AIによるバイオメトリクス(顔や歩容)の技術に着目し、機械が人間を検知するシステムをとおして、人間の知覚の在り方を逆照射する作品を発表して話題となりました。
近作では、科学者とのコラボレーションも重要な要素になっています。2020年のパンデミックは、コンピュータやメディアによる人類の認識論的現状を露わにしたと言えるでしょう。ウィルスや感染メカニズムの理解には、分子生物学やコンピュータ・シミュレーションの知見が欠かせない状況となり、感染防止対策やロックダウン下のコミュニケーションを支えていたのは、言うまでもなく情報通信技術です。しかし、高度に専門化した緒科学とテクノロジーの狭間で、私たちの直観は困窮しています。1人の人間が取得できる情報量と、とりうる行動の選択肢を、いかに結び合わせるか。この美学を、私たちはこれからどのようにアップデートしていけるかを村山の作品から読み取ることができるのではないでしょうか。シミュレーションによる世界認識や、ネットワーク状の情報生成など、創発の科学はこの問いにおいてキー概念になるはずと、村山は見通します。

本個展にむけて村山は、代表作の織物絵画を展開させ、ウィルスの構造にも大きく関係する<たんぱく質のフォールディング>の三次元構造の折りたたみの生成過程を参照し、新作を発表します。科学技術の認識論を、人間のイマジネーションへと架橋する村山の芸術的実践は、現在的に重要な意味を持つはずです。

スケジュール

2020年12月19日(土)〜2021年2月13日(土)

開館情報

時間
11:0018:00
金曜日は20:00まで
休館日
月曜日、日曜日、祝日
備考
12月31日は1月4日は休廊
入場料無料
会場Takuro Someya Contemporary Art
http://tsca.jp/
住所〒140-0002 東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 3F, 5F
アクセスりんかい線天王洲アイル駅B出口より徒歩9分、東京モノレール天王洲アイル駅南口より徒歩10分、京急本線新馬場駅北口より徒歩9分、JR品川駅港南口より都営バス「天王洲橋」下車徒歩4分
電話番号03-6804-3018
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