丁寧な調査と精緻な観察を通してジェンダー、ポスト・コロニアリズムの観点から作品を発表する本間メイ。本個展では、最新作《Bodies in Overlooked Pain》を、昨年インドネシアで展示された出産や胎盤といった女性身体にまつわる作品2点とともに発表します。インドネシアの伝統的産婆(ドゥクン・バイ)への聞き取り調査から始まった新作は、西洋的近代医療によって失われた女性身体へのあたたかな眼差しや、身体的・精神的痛みへのケアに光を当てます。また、本間が紡ぐ物語の多層性を紹介するため、19世紀後半から20世紀初頭にかけて東アジア・東南アジアでセックスワーカーとして働いていた女性たち、通称「からゆきさん」を辿り、近代日本の植民地主義に内包されていた女性蔑視を浮き彫りにした《Anak Anak Negeri Matahari Terbit-日出する国の子どもたち-》(2018年)も同時に展示。インドネシアと日本、両地を拠点とするアーティストの視点から、近代化の中で見過ごされてきた女性の身体とそれにまつわる文化と歴史を描き出します。(文・内海潤也)
同時開催: 日ノ出スタジオI棟