終了した展覧会・イベントです

「多摩美の版画、50年」

多摩美術大学美術館
終了しました

アーティスト

駒井哲郎、加納光於、横尾忠則、靉嘔、池田満寿夫、宇佐美圭司、迫鉄平、李禹煥、関根伸夫、高松次郎、若林奮
多摩美術大学における版画教育が、絵画科油画専攻に設置された版画教室から始まり、その後、油画専攻から独立した版画専攻が開設され、2020年に50年を迎えたことを記念して、日本における版画の多様な流れに本学がどのように関わってきたかを振り返るとともに、版画の特質と領域横断的なメディアとしての可能性を探る展覧会を開催いたします。

本学の版画教育は、版画家の駒井哲郎と吹田文明によって始められ、その当時、版画は絵画とは別の可能性を持つ表現として注目される時代でもありました。キャンバスなどに直接的に描く、一点物の絵画に対して、版画は、版を製作し、それを印刷する間接的で、複数的なメディアの特質を持ち、それを通じて絵画とは異なる表現の地平を切り拓いてきました。そのメディアの特質こそが、情報の複製、配信を加速していった高度情報化社会における芸術表現として広く受け入れられたのだと言えます。特に日本では、浮世絵などの歴史的な遺産を背景にしながら、国際的に高い評価を獲得していきました。本学はその評価の中心となる版画家たちを数多く輩出し、日本の版画教育研究をリードする先鋭的な拠点として位置し続けています。

他方、版画はオーソドックスな表現に留まらず、時代の変遷とともに新しいメディアと繋がり、写真やデジタル、そして彫刻、デザインなど、多彩なメディアや、ジャンルへと領域横断的に拡がってきました。本学においても版画教室出身者だけでなく、絵画、現代美術、グラフィックデザインを専門とする教員、卒業生の多くが版画制作に精力的に取り組み、非常に優れた作品を制作しています。たとえば、絵画学科教員であった画家の加納光於や辰野登恵子らは、版画制作で培われてきた版的思考が彼らの絵画表現の根幹を支えていたと言えるでしょう。また写真製版で知られる島州一や木村秀樹らは、版画を通じて写真的問題に出会い、記号イメージのあり方を巡っていきます。彫刻家の若林奮は、自身の作品素材であった銅板を版としながら物質のあり方に向き合い、そしてもの派の李禹煥、関根伸夫、吉田克朗らは、多種多様な方法で物と物、物と空間の関係性を図っています。そこでの彼らは従来の技法や技術にこだわることなく、別の新しいアプローチを生み出し、版画の潜在的な魅力を引き出していきます。他にデザインの領域では、イラストレーターの和田誠や秋山孝らは、大量に消費されるデザインとは異なる、作品性の高いポスターデザインを制作したり、かつてグラフィックデザイナーとして活躍した横尾忠則は、印刷の原理に着目したデザインを版画で制作し、表現力の高い作品として注目を集めました。このように版画は1つの領域に留まらず、ジャンルを自由に横断する特異なメディアとして多くの作家やデザイナーを刺激し続け、彼らの表現の可能性を多様に押し広げてきたのです。

本展では、多摩美術大学の教育研究に関わり、ゆかりのある作家やデザイナーの版画作品を、「版画のコア」「版画と絵画」「版画と写真」「版画ともの派」「版画と現代美術」「版画とデザイン」の6つのテーマに分類して展示いたします。これらの各テーマを通じて、版画がどのような可能性をもって拡がり、そして本学がどのように関わってきたかを概観しながら、版画が終始陥りやすい偏狭な技術論から離れ、このメディアが本来持っている豊かさとは何かを浮き彫りにしていきます。

スケジュール

2021年1月6日(水)〜2021年2月14日(日)

開館情報

時間
10:0017:00
休館日
火曜日
火曜日が祝日の場合は火曜日開館し翌日休館
展示替期間・年末年始休館
※現在リニューアルに向け長期休館中
入場料一般 300円、大学生・高校生・中学生・障害者手帳提示と付き添い1名 無料
※現在リニューアルに向け長期休館中
展覧会URLhttp://www.tamabi.ac.jp/museum/exhibition/210106.htm
会場多摩美術大学美術館
https://museum.tamabi.ac.jp/
住所〒194-0215 東京都町田市小山ヶ丘6-4-8(事務室)
アクセス※2023年3月31日をもちまして多摩市落合での事業は終了致しました。現在、リニューアルに向け準備中です。
電話番号042-706-7767(事務室)
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