終了した展覧会・イベントです

「Indirect」

Gallery Momo Ryogoku
終了しました

アーティスト

​市野悠、大坂秩加、チョン・ダウン
GALLERY MoMo Ryogokuでは、1月23日(土)から2月20日(土)まで市野悠、大坂秩加、チョン・ダウンによるグループ展「Indirect」を開催いたします。三人のアーティストが共通して、版という間接性を大事にしながら、制作を進めていることから、本展のタイトルを「Indirect」としました。

伝統的な石版画で悠久の時を内包するモチーフを描く市野、幾重にも版を重ねたリトグラフで、色鮮やかで舞台セットのような世界を描き出す大坂、銅版のインクの濃淡で独自の妄想的な世界観を作り出すチョン、三者の作品を展示することで、「版画」という大きな枠組みの中の多様な表現とテクニックや、それぞれの独特の世界観の中にある共通する部分を見つけてもらおうと企図しました。

日本では、アルミ板を使ったリトグラフが主流の中、市野は石を使い制作を続けています。石版での制作が自分自身に合っていたということだけではなく、「石版で描く意味を持つ」モチーフを描いています。長い年月をかけて堆積した大きな石に、人の記憶や、自然の悠久の時を感じさせるモチーフを描き、プレスすることで、作品にその時間を定着させようとしています。古い写真の場所を訪れ、写真の中の風景と現在のその風景を版画の中に収め、記憶の中にある風景を作り上げています。

それは、市野の描く代表的な山や海などの作品だけでなく、古いアルバムから見つけ出された1枚の写真をインクで黒くぼやかせていくPhotographシリーズからも伺うことができます。本展では、そうした作品を中心に新作も交え展示する予定です。

大坂は、学生時代に関わった舞台美術から制作への着想を得、モチーフとしている言葉は戯曲、描く人物は役者、テーマに合わせたインスタレーションは舞台セットといったように、展覧会を通して群像劇を作り上げ、虚構の中のリアルを表現しようとしてきました。

絵画作品と版画作品とは、大きく区別していないという大坂ですが、描かれるユーモアで、時にアイロニーが入り混じる女性の姿を描いた作品は、風刺画として版画が広まった起源や、庶民の身近にあった浮世絵を連想させるような身近さを感じます。

学生時代に作品のコンセプトや内容に行き詰まった時でも、技術習得を目的に手を動かし続けることができたという版画制作は、今でも新しいことに挑戦できる手法だと言います。本展では、版画工房カワラボ!で新しい技術を習得しながら制作した作品を展示する予定です。

チョンは「妄想」を出発点にモチーフを展開し、モノクロームの銅版画という手法を得て、その「妄想」を「現実」とつなげるツールとして用いています。 描かれる日常と非日常は、同時に夢であり、現代の不安や孤独、そして希望の入り混じった世界を表現しており、それゆえ作品で描かれる場面は、現実の場面にシュールな世界が組み込まれて独特な世界観を醸し出しています。

絵画のようにダイレクトにキャンバスに絵具を置くような手法ではなく、「絵を描く、刻む、刷る」というプロセスを経て制作する版画のある種の不自由さは、チョンに制作との距離を持たせ、繰り返し同じ工程を踏むことでできる作品とのこの距離感が、チョン自身の複雑な内面世界を可視化するのに重要な要素となっています。本展では、そうしたチョンの映画のワンシーンのような妄想の世界を描いた旧作やモノタイプ作品を展示する予定です。

版画が、高額の絵画の代替としての役割を担っている今日のアート業界において、版画という制作方法に向き合い、制作を続ける三人のアーティストの世界をご高覧いただければ幸いです。

スケジュール

2021年1月23日(土)〜2021年2月20日(土)

開館情報

時間
11:0019:00
休館日
月曜日、日曜日、祝日
入場料無料
会場Gallery Momo Ryogoku
http://www.gallery-momo.com/
住所〒130-0014 東京都墨田区亀沢1-7-15
アクセス都営大江戸線両国駅A3出口より徒歩1分、JR総武線両国駅東口より徒歩5分
電話番号03-3621-6813
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