岩野仁美 展 『Whereabouts』

岩野仁美は、学生時代より一貫して「木目込み」という筋彫りに布を入れ込んでいく伝統的な手法を応用して、平面・インスタレーション作品を制作している。オリジナルのキャンバスを用いて線画部分を立体的に彫りつけることで輪郭を描き、その筋彫りごとに彩色豊かなテキスタイルを貼り付けていくことで植物などのイメージを描く。

にある
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以前ではダイレクトに植物のモチーフを扱うことが多く、また花弁を部分ごとにあえて違う質感の布で表現するなど技法そのものの試みが目立ったが、近頃では写真のプリント生地を用いるなどして景色を作品に取り込んだり、ドローイングを取り入れるなどしてごく自由に他の技法を組み合わせた作風が多くなってきている。

今回の展示作品で特に私が気に入ったのは、「空」を大きく写し込んだ写真のプリント生地を一面に用いて、数枚の花弁が舞い落ちる様をその独特の技法とドローイングと両方とで表現したいくつかの作品である。まるで写真のシャッターを押した時に、彼女が実際にそこに舞い落ちる花弁を認めていたかのように見事な構図の描画であり、ドローイングも効果的に合わせることで表現により厚みが出ている。すなわち、絵画という2次元の表現領域を保ちつつも、より豊かな3次元の世界をそこに展開させることに成功しているのである。

*2006年1月7日~15日、筆者企画にて岩野仁美個展を開催いたします

会場:YOSHIDATEHOUSE(http://www.yoshidatehouse.com)

Makoto Hashimoto

Makoto Hashimoto. 1981年東京都生まれ。横浜国立大学マルチメディア文化課程卒業。ギャラリー勤務を経て、フリーのアートプロデューサーとして活動している。主な企画展にReading Room (BankART Studio NYK/2005年)、都市との対話(BankART Studio NYK/2007年)、The House「気配の部屋」(日本ホームズ住宅展示場/2008年)など。2006年11月より横浜ベイクォーター内 「ギャラリーBOX」の作品展示をP3 art and environmentの芹沢高志と共に企画・制作。また、TABの他にポータルサイト「AllAbout アート・美術展」 「REALTOKYO」、雑誌「BT/美術手帖」「ARTiT」「美術の窓」などでもアート関連記事を執筆している。 展覧会のお知らせや業務依頼はhashimoto[AT]diacity.netまでお気軽にどうぞ。 ≫ 他の記事

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