本展は、建築家の大橋渉さんのはじめての個展。大橋さんはお菓子やパンをつくる腕も職人さながら。今回はCADで描いた設計図をもとに、パンで日常的なインテリアを制作した。淋しいときに「来る、来ない‥」の花占いができるガーベラ、負けたら食べて、なかったことにできるオセロ盤など、遊びに溢れた作品が、空間によく馴染んでいた。
建築家がパンづくり??といぶかしむ方も多いだろう。
建築には、表象や存在感としての外観、暮らしを営む機能としての室内。作品となったパンたちには、目にする美しさと、口にした瞬間の至福。どちらも満たすべき表現空間が二重にある繊細なオブジェクトといえるのではないか。建築とパン、大橋さんはふたつのライフワークをごく自然に平行させている。
明日20日は最終日のため、皆で少しずつ作品を食べてゆき、展示を解体するという。タイミングが合えば、ぜひ召し上がってみてほしい。罪の意識と蜜の味がするはず。なーんて。きっとおいしいよ。