作品から1メートル以上離れてる見ると、天地反転して映り込んでいる。…ちょうどスプーンに映り込むように…80cmくらいのところまで作品に近づくと、大きな正位置の像に変化する。視点を正位置と倒立の像が見える狭間を置くと、世界がゆるやかに点滅するような感覚に陥る。漆の器を物として観ることはできない。それは、常に映り込む空間とともにある。さらに、パラポラ特有の音の反響や集音作用がある。視点を変えながら鑑賞すると、作品が空間を支配しているのが分かる。
そのほかに、Turning Water into Mirror, Blood into Skyという作品。水が入った金属の円形の水槽が回転していた。当然水は遠心力で外側に引きつけられる。真ん中がくぼむのだ。その水の形は、Parabolic Mirrorだ。水には赤く着色してあるので写り込む。
水や漆が、視覚・聴覚/空間を支配する展覧会である。