本の仕立て屋さん -装丁を見る愉しさ、触れる愉しさ-

私たちは、人生で何冊の本を手に取るだろうか。多くの情報をインターネットなどのデジタルメディアで入手できるようなった現代であるけれども、私たちはなお、膨大な量の書物に囲まれて生活している。

poster for Book Tailors - Pleasure of seeing and touching bookbinding

本の仕立て屋さん -装丁を見る愉しさ、触れる愉しさ-

にある
ポーラ ミュージアム アネックスにて
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そしてだからこそ、1冊の本を手にする時に、それが「本」というかたちをしていることの意味、すなわち書かれている内容はもちろん、デザイン、質感、重量といった物質としての価値が重要になってきているように思える。

POLA Museum Annexで行われている本展は、本の装丁デザイナーの仕事に焦点を当てた展覧会だ。山室眞二、田中淑惠、大久保明子、幅雅臣、年代も性別も異なる4人の仕事が並ぶ様は圧巻である。

ただ完成した作品を並べただけではなく、例をとって吉本ばななの『イルカ』の装丁ができるまでの工程を展示してあるのも非常に良かった。同じデザインでもどんな紙に印刷をするのか、また印刷方法も箔押しの有無やその種類により全く印象が異なるのである。帯も重要だ。表紙と帯にまたがったデザインにもできるし、どういったかたちで文句を入れるのか。いくつもの試作品を見比べるのは楽しい。

私も仕事がら印刷には携わる機会がそれなりにあるけれども、やはり「本」というかたちにする作業には、それ自体にクリエイティブがあって、デザイナーの手腕がより大きく問われることがよくわかった。こういった展示は意外に見る機会が少ないので、興味のある方にはぜひ足を運んでいただきたいと思う。

Makoto Hashimoto

Makoto Hashimoto. 1981年東京都生まれ。横浜国立大学マルチメディア文化課程卒業。ギャラリー勤務を経て、フリーのアートプロデューサーとして活動している。主な企画展にReading Room (BankART Studio NYK/2005年)、都市との対話(BankART Studio NYK/2007年)、The House「気配の部屋」(日本ホームズ住宅展示場/2008年)など。2006年11月より横浜ベイクォーター内 「ギャラリーBOX」の作品展示をP3 art and environmentの芹沢高志と共に企画・制作。また、TABの他にポータルサイト「AllAbout アート・美術展」 「REALTOKYO」、雑誌「BT/美術手帖」「ARTiT」「美術の窓」などでもアート関連記事を執筆している。 展覧会のお知らせや業務依頼はhashimoto[AT]diacity.netまでお気軽にどうぞ。 ≫ 他の記事

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