西野は公共の場に置かれた彫刻やモニュメントの周りに構造物を設置し、それらをごく近い距離で鑑賞できる空間をつくる。例えば昨年開催された横浜トリエンナーレ2005では、中華街の公園にあるあずまやを構造物を囲い、天蓋に見立ててベッドを設置。会期中にはホテルとして宿泊も可能な施設として公開した。
今回囲われたのは、エルメスのモニュメントである馬に乗ったシェリー(鞍屋)である。普段決して見ることのできない至近距離でこれを見るだけでも面白いのだが、「”白馬に乗った王子様”が訪れることを心待ちにしている少女の部屋」というコンセプトで空間をつくりあげているのもばかばかしくてよい。「私の部屋」どころか「私の夢」を覗き見してしまったということで、少々気恥ずかしい思いをして小屋を出た。
Makoto Hashimoto
Makoto Hashimoto