《見えない川》は彼女が2002年から始めているプロジェクトで、現実の事物や風景を元に、実際には存在しない架空の川に関する様々な物語をつくりだしていく作品だ。今回はスタジオ来場者のポートレートを撮影し、インスタレーションに加えている。撮影された人物には「水質研究者」「橋りょう設計者」「住人」などそれぞれキャラクターが与えられ、短い物語が添えられている。
わずかな素材に豊かなイマジネーションが加えられ、ひとつの可能性としての世界が構築されていく様は美しい。実際のところ、キャラクターはどこかで人物本人とリンクしているかもしれないし、川は見えないだけで実は存在しているのかもしれないけど。
見る側も、インスタレーションの様々な要素から世界を読み取り、想像力を働かせながら楽しみたい。
Makoto Hashimoto
Makoto Hashimoto