「アイドル!」展

絵画、写真、映像、ダンス、ゲームなど様々なジャンルでアイドルそのものを扱った作品や、アイドルを連想させる作品を紹介することで、現代社会におけるアイドルを考えるという企画展。

poster for

「アイドル!」展

横浜、神奈川エリアにある
横浜美術館にて
このイベントは終了しました。 - (2006-10-07 - 2007-01-08)

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In レビュー by 加賀美 令 2006-12-13 print

まず、マンガ、アニメ分野のアイドルとして「きらりん☆レボリューション」から導入し、KATHYのパフォーマンス、蜷川実花の鮮やかでポップな写真、1979年に放映された「NHK特集 山口百恵 激写/篠山紀信」と続く。そして今、子どもたちが夢中になっている「ラブ&ベリー」。壁一面に展示された昭和47年〜56年までのアイドル雑誌「明星」の表紙の拡大プリント。アイドルというよりむしろ美術界のカリスマ的存在といえる草間彌生による詩の朗読映像、「超個人的な意味での、違う方向のアイドル」を追求した西野正将の作品を経て、加藤美佳や川島秀明らのペインティングでエンディング。このように、「アイドル」という観点から集められた多様な作品やアイドルを連想させるものを集めてあるのだが、時代を象徴するアイドルという観点からいうと、同時代性を喚起させるに足らず、物足りなさが残った。アイドルを通じて大衆文化が人の精神形成に担う役割について考えを派生させるような深みがもう少しほしかった。しかしながら、自分にとって一体「アイドル」とはなんだ(った)ろう?と、自分の原風景を探るチャンスに出会えるかもしれない。

たとえば、なぜ、加藤美佳や川島秀明らのペインティングが「アイドル」を連想させるのだろうか?きらきらした瞳が少女漫画の登場人物やバービー人形を連想させるからなのか、それとも、この世に実在しないのにしそうなものである感じがアイドルを連想させるのか?

一方、この展覧会の大きな特徴として、橘学苑高等学校デザイン美術コースの高校生が、ゲスト・キュレーターとして作品選定の提案や関連プログラムの立案などを行ったという点は興味深い。「ラブアンドベリー」で遊ぶには大きすぎるかもしれないけれど、山口百恵も知らないかもしれない世代の視点を交えるというだけでなく、こうした企画ができること自体に、美術館の精神的な余裕を感じる。

「アイドル」のタイプは時代、受け手、メディアによって様々用意されている上に、千差万別。しかし、共通することは、手が届きそうで届かない、けれども決して雲の上の存在ではないということ。日常からほんの少しだけ浮いたところにある存在だからこそ、こんなにも魅了されるのだ。一つでも感傷に浸れる素材が見つかれば、アイドルは心の中で色褪せないということに気づくだろう。

Rei Kagami

Rei Kagami. 東京都在住。大学卒業後、働きながら2005年武蔵野美術大学通信教育課程にて学芸員資格取得。いくつかの展覧会のキュレーションに関わったり展覧会ガイドなどを経験した後、2005年夏より、フルタイムでアートの仕事に従事。 ≫ 他の記事

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