公開日:2007年11月10日

日本のオークション事情

日本におけるアートのトレンドとしては、ほとんどがニューヨークに10年遅れてやってきているといえるだろう。

驚くなかれ、昨年の頭から、小規模なオークションハウスがちらほらと営業しているが、今年の5月には AJCEst-Ouest AuctionsJ-Capシンワアートオークションなど、様々な方面からの出品がまずまず見られるようになった。クリスティーでのアジア現代アートブームが追い風となっている状況だ。

落札台に上るのは、ワインから、硬貨、陶器、宝石、家具、そして近代から現代アートと、様々だ。残念なことに、ローランサンや奈良美智などの常連の版画や素描、複製が中心に落とされるのが現状だ。売り上げには波があり、70から90パーセントが落札されるという状況だが、シンワでの1963年のピカソの油絵に、6000万円から8000千万円が予想される中、驚きにも3億1000万円という額が付いた。

これからの日本のオークション市場に注目する価値は十分ある。その理由の一つとして、金沢21世紀美術館、前館長の蓑豊氏が今年はじめよりサザビー本部の重要なポジションに任命されたことを期に、沼地と化したオークション界にもっと安定した基盤づくりが期待できるであろう。

Martina Gahn

Martina Gahn

ニューヨーク州、ロングアイランド出身のマルティナ・ガーンは2002年に東京と愛憎の絡み合った付き合いを始めた。時にはカクテルを作り、時には英語を教えながら他人の饒舌を編集し、最近では電車の痴漢について本を書いている。音韻交替、靴、ジル・ドゥルーズとWeezerを好み、暇な時間には愛犬パグの「ヒル」と「ロー」を連れて東京のビジネス街を歩く。アートなものは全て愛し(古代ギリシャ美術からヘッジファンドコレクションまで)、アート産業のセックスと嘘とユーチューブ・リンクの先にあるものを伝えたいと思っている。