驚くなかれ、昨年の頭から、小規模なオークションハウスがちらほらと営業しているが、今年の5月には AJC、Est-Ouest Auctions、J-Cap、シンワアートオークションなど、様々な方面からの出品がまずまず見られるようになった。クリスティーでのアジア現代アートブームが追い風となっている状況だ。
落札台に上るのは、ワインから、硬貨、陶器、宝石、家具、そして近代から現代アートと、様々だ。残念なことに、ローランサンや奈良美智などの常連の版画や素描、複製が中心に落とされるのが現状だ。売り上げには波があり、70から90パーセントが落札されるという状況だが、シンワでの1963年のピカソの油絵に、6000万円から8000千万円が予想される中、驚きにも3億1000万円という額が付いた。
これからの日本のオークション市場に注目する価値は十分ある。その理由の一つとして、金沢21世紀美術館、前館長の蓑豊氏が今年はじめよりサザビー本部の重要なポジションに任命されたことを期に、沼地と化したオークション界にもっと安定した基盤づくりが期待できるであろう。