上海で会ったTaka Ishii Gallery

上海の新しい国際アートフェアーにて、日本から出展していたTaka Ishii GalleryのJeffrey Rosenさんに話を聞きました。

In インタビュー by Aneta Glinkowska 2007-10-01

ShContemporaryで開催された上海国際展示場

まずは売れ行きはいかがですか?

すばらしいアートフェアーだと感じていますが、今のところ売れていません。まだ終わったわけではないですけれども。しかし、売り上げがあまり良くなくとも、私たちにとっては重要なイベントだと考えています。まあ、フェアーに参加する経費くらいはカバーできればなとは思いますね。通常のアートフェアーだと、初日に大半のセールスが決まります。今回は結構多くの方が、展示作品のプライスを見ていっているので、希望はもっているのですが、とはいえ、どの作品も売れていないというのは結構がっかりしています、、、。

全体としては、今回で、人との繋がりは構築できてきていると思います。新しい中国のアート施設の人々がきて、話したり、ライターなんかも結構来てくれます。アジアのアートシーンの未来にとってはこのアートフェアーはいい投資だとは感じています。こういうことって時間がかかるんです。例えば、ロンドンのFriezeに出展すればみんな商業的に成功すると期待しますよね。商業的な成功を支える実態ある社会的サポートの構造がそこに出来上がっているから上手くいくわけです。

アートフェアーの組織に関してはいかがですか?

エネルギーはすばらしいし、人々もとても親切です。何よりフェアーはかなりよく運営されています。とても驚いています。ここに来るまでは、ひどいもんだろうと思っていましたから。実際、スケジュールはかなり遅れていましたし、様々な締め切りなんかもあって、無いようなものでしたから。めちゃくちゃなんだろうなあと思っていました。壁が曲がっていたり、ブースが設計どおりじゃなかったり、まあ他のフェアーでもそういうことは結構起こりますからねえ。でも、ふたを開けてみれば、全てがかなりよく運営されていますよ。ちょっとした問題があっても、すぐ解決してくれましたし。

Taka Ishii Galleryのブースの様子

ブースに来るビジター、ディーラー、コレクターは主にどの国の人々ですか?

私たちの作品に興味を持ってくれているのは、主に韓国からの方や、少しインドネシアの方がいましたが、中国人の方はほとんどいないですね。シニカルな意味ではなく、このフェアーに展示するアーティストを選んでいたときに、興味を持ってくれるのは、日本以外のコレクターだろうなあと思っていました。今のところ、どの作品も売れていませんが、それでも正しい選択だったようです。ヨーロッパからのディラーやコレクターがそこの後ろの壁のSean Landersの作品に興味を持ってくれています。残念ながらアジアからのコレクターは全然興味を持ってくれませんが。

どうして、このアートフェアーに参加することにしたのですか?

確実にこれというのは難しいのですが、何と言いますか、ある種の対話をしないというのは無責任だし、もっといえばばかげているんじゃないかと思ったんです。アートシーンの中において、ある一定の緊張関係はとりあえず横に置いておいて、何かを一緒に作り上げることができるんじゃないでしょうか。多くの日本のギャラリーは中国のコンテンポラリーアートシーンで何が起きているかほとんど知りません。参加することでその状況を変える一つのステップになるのではと考えたんです。

もっと個人的なレベルでいうと、今の自分では選別するのが難しいですね。というのも、もちろん中国のコンテンポラリーアートの代表作がどんなものかくらいは知っていますし、多くの作品を見てきてはいますが、未だに理解しているとは思えませんし、もしかしたら単に自分の趣味に合わないだけかもしれません。このフェアーは私にとっても、実際に見て、それを理解し始める第一歩になると思います。また、一番大きな理由はアーティスティック・ディレクターが東京の多くの関係者と友達のPierre
Hubertさんであるということですかね。彼に参加するように説得されたんです

アートフェアー東京と比較していかがですか?

勢いのようなものがとても違いますね。アートフェアー東京は国際フェアーにしていくという意味ではでは多くの課題があるのではないでしょうか。まだまだとても局地的なフェアーです。また、例えば、Art@Agnesは勢いのある若いフェアーで、東京の若いギャラリーを紹介していこうとしています。だからこれも地域的ではありますが、何かオリジナルで面白いことが起こっているのでオッケーですね。

私は東京に住んでいますから、これはとても個人的な印象かもしれません。あるスペインのギャラリーがアートフェアー東京に出展したら、彼らにとっては、新しくてとてもエキサイティングな東京のど真ん中で、ポジティブな印象を受けるかもしれません。しかし、東京のギャラリストとして、アートフェアー東京には”まだ”そのような印象はありませんね。

今、東京にも小さいですがマーケットができつつあります。今は以前よりずっと安心して人々を東京に誘えます。前は大変でした。外国人に日本に来るように説得しないといけなくて、あんまり売れないかもしれないけど、コネクションを作るのにはとてもいいところだよという風に言うしかありませんでしたから。でも今は状況が変わりました。

Taka Ishii GalleryのJeffrey Rosen

この上海のアートフェアーではどのギャラリーが気になりますか?

実は、私のブースの前の中国のギャラリーがとてもエネルギーにあふれているんです。しかしその他の中国のギャラリーにはこれといって興味は惹かれていません。見れる限りは見ているのですが、多くは予想通りものが多いですね。アジアのギャラリーで注意を引くのはあまりありませんが、NYからのMax Protetchは面白いですね。作品の設置が面白くて、今までに私が見たことのない方法で、中国のアート作品をコンテキスト化しています。

2ヶ月前にヒューストンの美術館で、コンテンポラリーアジアアートのコレクション展を見ました。主に中国アートですが、日本やその他のアジア諸国のものも含まれていました。そこで、パネルディスカッションがあって、Max Protetchが中国アートについてスライドを見せながら話していました。そのとき自分が見ていないものを彼は見ているなと感じました。彼の美的センスが明確に定義されていたんです。私は今でも彼が見ていて自分が見ていないものが何であるか分かりませんが、あるスタイルをもったペインティングがしっかりコンテキスト化されると、突然、それらが私が理解できる言語のようなもので話しかけはじめる瞬間があると思います。彼のブースは少なくとも私に考えさせましたね。

このアートフェアーのセクション分け「best of artists(有名作家のブース)」「best of discoveries(若手作家のブース)」「best of galleries(通常のギャラリーのブース)」についてどう思いますか?

それらのセクションの名前はちょっと思慮が欠けているんじゃないかと思います。そもそものセクションの分け方や、アーティストの選択、ギャラリーの選択にそれほど情熱や、注意がかけられていないように思います。少しのことで大きく違ったんじゃないですかね。このフェアーが今後回数を重ねるにつれて、もっともっと国際的なギャラリーが増えて、そういう意味でもフォーカスがクリアになっていくといいですね。

このアートフェアーを何か新しいもので、特別なものにしようと、やや白々しいところもありますよね。そういうのは私達には必要ないです。他のアートフェアーと同様、アートフェアーはあくまでアートフェアーですから。違うのは、これが上海で行われていて、アジアのアートマーケットを作り、その育成のサポートをしていくということなんじゃないですか。

和訳:藤高晃右

Aneta Glinkowska

Aneta Glinkowska. ポーランド生まれ。1996年にニューヨークに移住、大学と大学院を卒業。大学の科学の実験などは定期的に逃避し、代わりに毎日映画館に通い、ヴィレッジトライアングルのアンジェリカ・フィルム・センター、クウォッド・シネマ、シネマヴィレッジに入り浸っていた。映画館で過ごさなかった時間には写真を「創り」、ニューヨーク在住のポーランド人の写真家のグループと展示していた。大学末期、交換留学でパリに住み、そこでも$18月間映画パスを使いまくった。ニューヨークに戻って真剣に映画と向かい合おうと決心、MAプログラムでシネマスタディーズを専攻。卒業後またもや新しい都市、東京でアートと映画に関するライター・ブロガーとして働き、日々アートギャラリーを訪れている。 ≫ 他の記事

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