Tokyo Art Map ミニ企画「自然の光を取り込む絵画」

ホログラムのような絵画を描くアーティストの大庭大介さんにインタビュー。

In 特集記事 by TABインターン 2012-10-10

Tokyo Art Map 9-10月号の表紙はホログラムのような美しい絵画。モデルとなった画家の大庭大介さんの作品です。大庭さんは、偏光パール系の絵の具を使って、光の加減や鑑賞者の見る位置によって見え方が変わる作品を制作しています。

撮影の舞台となったのは、台東区谷中から最先鋭のアーティストを世界に向けて発信しているギャラリー、スカイ・ザ・バスハウスです。

今回は、11月27日(火)〜12月21日(金)にスカイ・ザ・バスハウスで行われるという新作の展覧会に先駆けて、大庭さんにインタビューしました!

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絵画の拡大図。一見、機械で描いたかのように正確な円だが、実はすべてフリーハンドで描いている。


▼普通の絵の具ではなく、見る位置によって色の変わる特殊な絵の具を使うようになった経緯を教えてください。
普通の色だと、赤だったら赤、青だったら青と、見え方やメッセージが確定しています。でもこの絵の具は、見える位置によって色が変わる。色が変わることで「時間」を感じられるような絵画が描きたかったのです。

▼GYREの展示では同じ素材を使って、樹木を描いていましたね。それを見た時、光の加減で色が変化する様子が木漏れ日のようだと感じました。
そうですね。実際の木はただ緑色をしているのではなくて、風に揺れてきらきらとした木漏れ日を落とします。昼間に見たときの様子と夜に見た時の様子でも、見え方が全然違う。ある意味では、僕の絵画はただ緑や白を使って写実的に描いた木よりも、よりリアルな樹木を描いていると言えるかもしれません。
インタビューの様子。
▼抽象的なモチーフの絵画を描くときは具象画を描くときとは違って、何かテーマを決めて描いているのですか。
僕は、絵画においては「具象」も「抽象」も、同じだと思っている。一見、具象は具体的な何かを描いていて、抽象は何を描いているのか分からないけれども、その二つの本質にあるものは同じです。僕の絵画は、表面的なものではなく、その本質を描いているのです。

▼いくつかの作品に「ウロボロス」や「スパイラル」といった同じタイトルをつけていますね。これらのタイトルにはどういう意味が込められているのですか。
「ウロボロス」とは蛇が丸くなって自分の尾を飲み込んでいるイメージのことです。輪廻転生や、陰陽などを象徴しています。以前タイトルに使用していましたが、最近は「スパイラル」というタイトルを使っています。「ウロボロス」と「スパイラル」の二つに共通するのは、コインの表と裏のように両義性を持った意味合いを含んでいることです。光と闇、生と死などは、片方が重要であるのではなくて、両方が関係し合うことが大切だと考えています。

▼作品について、どんな感想をもらったことがありますか。
使っている素材は女性のマニキュアのようにキラキラしているから、単純に「キレイ」だと褒められることが多いです。ある哲学者の方に「ギャル絵だね」と言われたのが一番面白かったですね。

▼自分の作品のファンにはどんな方が多いと思いますか。また、どんな方にもっと見て欲しいと思いますか。
女性も男性も育った国も関係なく、気に入ってくれる方は気に入ってくれます。でもこれから誰に一番見てほしいかというと、宇宙人や未来人に見て欲しい!全く違った視点から、どういう風に僕の考えを理解してくれるのだろう。僕が死んでからも作品は残ると考えているので、未来の人にどう伝わるかというのも楽しみですね。



光の差し込む天井は大庭さんの作品を展示する環境としてピッタリだ。

▼画家を志したきっかけを教えてください。
小さな頃から絵が好きで、得意でした。当時は「ドラゴンボール」などを模写していたのですが。運動も好きだったので、外で遊んだり給食を楽しみにしたりしている普通の男の子でした。ただ、その頃は「画家」と言うとベレー帽のダサいイメージがありましたね。高校で美術の学校に進学したのは、絵を描くことが自分にとってものすごく自然だったから。それしか選択肢が無いように思えたのです。その後(絵を)辞めたいと思ったことはありません。

▼アーティストとして強く影響を受けた人や出来事はありますか。
沢山いて一人に絞るのは難しいなぁ。一番影響を受けたのは、村上隆さんなど90年代に美術業界を賑わせた作家の方たちです。先ほど画家にはダサいイメージがあったと言いましたが、そういった偏見を一新してカッコいいイメージにしてくれた。彼らのお陰で、それまでなかなか興味が持てなかった現代アートに親しみを持てるようになりました。

▼最近の堂島ビエンナーレや超群島展には、様々なジャンルの方と一緒に作品の展示がありましたね。これらの展覧会で学んだことはありましたか。
藤村龍至さんなど、建築家の方に影響を受けました。住居としての機能という点ではもちろん、どのように光を取り入れているかとか、住む人との関係とかが気になりました。僕の作品は、「鑑賞者」「光」「作品そのもの」という関係性を大切にして成り立っているので、近いものを感じたのです。独りよがりで出来ていないところに共感したと言えるでしょう。


インタビューの最中に見せてくれた笑顔。とても優しい雰囲気です。

▼最後に、これからの指針についてお教えください。
芸術分野で生きていく後輩たちへの美術教育に興味があります。美術をやるということは、自分の内側だけの問題ではなく、社会全体までをも巻き込んでいくものだということを、もっと若い世代に伝えていきたいです。

—— ありがとうございました!

撮影の間中も、作品は常に表情を変えて私たちの目を楽しませてくれました。
天井から光の差し込むスカイ・ザ・バスハウスは大庭さんの作品を展示するのにピッタリな場所と言えるでしょう。前回の個展から3年10ヶ月ぶりとなるこの冬の個展は、大庭さんの3年間の成長を感じられるような展示になるとのことです。昔からのファンの方はもちろん、大庭さんの作品を見たことがない方も是非足を運んでみてはいかがでしょうか。


歴史ある銭湯を改装して出来たという建物。雰囲気があります。



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[TABインターン]
Ai Kiyabu: 89年生まれ。美学を専攻する大学生。編集者目指して、雑誌「GINZA」でアルバイト中。Sputniko!展にスタッフとして参加後、アートと社会の関わりに興味を抱く。趣味はアウトドア。バッグ一つで生きていける人生を模索中。

TABインターン

TABインターン. 学生からキャリアのある人まで、TABの理念に触発されて多くの人達が参加しています。3名からなるチームを4ヶ月毎に結成、TABの中核といえる膨大なアート情報を相手に日々奮闘中! 業務の傍ら、「課外活動」として各々のプロジェクトにも取り組んでいます。そのほんの一部を、TABlogでも発信していきます。 ≫ 他の記事

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