公開日:2013年6月1日

東京国立近代美術館60周年記念の「夏の家」、宮城県石巻市へ移設

【Art Beat News】移設後は、集会や休憩の場、お祭りの拠点として、地元の方々が活用する。

昨年8月、東京国立近代美術館本館の前庭にオープンし、多くの来館者に親しまれてきた「夏の家 MOMAT Pavilion designed and built by Studio Mumbai」が、5月26日の会期終了を持って宮城県石巻市十八成浜(くぐりなはま)に移設されることになった。

夜の「夏の家」
夜の「夏の家」

「夏の家」は、東京国立近代美術館の開館60周年記念企画として、美術館の前庭に東屋を設置された憩いの場。設計・施工を担当したのは、インドの建築事務所スタジオ・ムンバイで、彼らの得意とする、オーガニックな素材をつかった心地よい空間が来館者に好評を博した。

その「夏の家」が宮城県石巻市十八成浜に移設されることに。設計者であるスタジオ・ムンバイの代表ビジョイ・ジェイン氏はかねてより、会期終了後も「夏の家」が人々に利用され続けることを望んでいたという。

ジェイン氏は、震災後、被災した方々が集える建物を設置する「みんなの家」プロジェクトを提案・実施している「帰心の会」(伊東豊雄氏、山本理顕氏、内藤廣氏、隈研吾氏、妹島和世氏)に声をかけ、同会の協力のもと、「夏の家」を被災地に移設することが決定した。移設後は、集会や休憩の場、お祭りの拠点として、地元の方々が活用するという。

スタジオ・ムンバイは、1995年、ビジョイ・ジェインがムンバイに設立した、大工職人と設計者による、設計から施工まで一括して手掛ける建築事務所。土地の材料や伝統的な技術を重んじ、手作業による施工をベースにしたオーガニックな建築作品を数多くつくる。これまでヴェネチア・ビエンナーレ建築展(2010年)への出品をはじめ、建築雑誌『El croquis』で特集されるなど、世界で注目を集めてきた。

今回の移設の模様も、夏の家(仮)ブログで伝えられている。

■関連リンク
夏の家(仮)ブログ

執筆:岡徳之(Noriyuki Oka Tokyo)

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