11月6日より東京国立近代美術館で開催中の、写真家ジョセフ・クーデルカ展の内覧会に行ってきました。
クーデルカは、1968年に彼の母国チェコスロヴァキアで起こったプラハ侵攻を収めた写真を、本人および家族への報復の懸念から匿名で発表し、1969年に匿名のまま国際報道クラブよりロバート・キャパ賞を授与しました。今回の展示は「初期作品」から最新の「カオス」まで7つのシリーズに分かれており、この「プラハ侵攻」や彼の評価を確立したとされる「ジプシーズ」、そして日本では見ることができなかったその他の作品が一堂に会する、アジア初の回顧展となっています。
今回の会場設計はクーデルカ自身が行っており、展覧会が始まる前にも二度、本人自ら現場を訪れ、スタッフとのやり取りを重ねたそうです。シリーズは時系列に展示されており、50年以上にわたる彼の作品の変化や類似性を発見できるようになっています。
記者発表には、クーデルカ自身も登場。写真から受ける静かで重厚な印象とは違い、どちらかといえば明るくて柔らかな雰囲気で、記者からの質問には丁寧に言葉を選んで答えているように感じました。
「全ては終わるが、終わりかけているものを写真で捉えようとしている。」そう語るクーデルカが人生を通して捉えてきたものを、この展示では垣間見ることができます。今日世界で最も注目される写真家の一人と称される彼の作品に、この機会にじっくり対峙してみてはいかがでしょうか。
[TABインターン]
安田七海:東京都出身。大学院卒業後、就職したもののその後紆余曲折を経て来年から法律を学ぶ予定。アートは未知なる世界への入口と捉え、TABを活用して様々な展示へ足を運ぶ。趣味は他に読書・散歩・食。