公開日:2014年7月11日

博報堂とアルスエレクトロニカのイノベーションサービス「Future Catalysts」が始動!!

【Art Beat News】産業とテクノロジー、そしてアートをつなぐ未来のイノベーション創出支援サービス

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今年5月、世界的なクリエイティブ機関アルスエレクトロニカと博報堂が提携するというビッグニュースが飛び込んできた。その名は「Future Catalysts」、社会における新たなイノベーション創出の「Catalyst(触媒)」となることを目指した新プロジェクトだという。

リンツ市民、世界中のクリエイターが集う場所として機能するアルスエレクトロニカ・センター 
photo: Nicolas Ferrando, Lois Lammerhuber

アルスエレクトロニカといえば、オーストリア・リンツを拠点とする世界最大のメディアアートの祭典というイメージが強いかもしれない。一方、フェスティバルテーマや毎年選出される賞の審査結果にも見られるように、「先端テクノロジーやアート的思考が、社会にいかなるインパクトや影響を及ぼしうるか」を最も考え抜いてきた研究所でもある。
また、アルスエレクトロニカのR&D部門「フューチャーラボ」では、欧州を中心とした国際的企業と連携しながら、社会や産業に巻き起こるイノベーションを支援するプロジェクトを長年実行してきた。こうして過去30年にわたりアルスエレクトロニカが培ってきた知見や人材は、これからの日本社会を改革しうる重要な鍵を握っているだろう。

しかし、なぜ、アルスエレクトロニカが日本の企業とタッグを組んだのか?
その理由のひとつに、日本が誇る世界トップクラスの技術やデザインへの圧倒的な信頼がある。アルスエレクトロニカのアーティスティック・ディレクター、ゲルフリート・ストッカー氏は「日本はこれまで、エンジニアリング、アート、デザインなどの領域において、トップクラスのクオリティで世界をリードしてきた」と語っている。しかし現在では、技術のみならず、社会的・文化的なイノベーションが必要とされながらも、一歩世界に遅れをとっているのが日本の現状だ。

博報堂とアルスエレクトロニカによる共催カンファレンス「Future Rock Show」(アルスエレクトロニカフェスティバル2013)
photo: Florian Voggeneder
そこで今回の提携では、アルスエレクトロニカが有するテクノロジーやアート領域の高度な専門性と、博報堂が持つ企業とのネットワークやアイデア具現力など互いの強みを活かし合うことで、従来の社会常識をくつがえすイノベーションを創出することが期待されている。Future Catalystsというプラットフォームが、クライアント企業における新規事業の開発支援や、社会問題への新たな解決策を促すようなプロジェクトの「触媒」となることを目指すというものだ。
そこでは、企業や社会の問題に対し、アルスエレクトロニカが提案する「アートシンキング」を取り込むことが大きな課題となる。すなわちそれは、アーティストたちの創造性あふれる発想やクリティカルな視点、コミュニケーションを生むデザイン、その他さまざまなクリエイティブ性を社会に接続しようとする試みでもある。

具体的には、クライアント企業に向けて、新しいメディアやプロダクト、サービス、エンターテインメントの提案、社会イノベーションプログラム等の開発を支援。また、アルスエレクトロニカ・フェスティバルとの連携プログラムも実施予定だ。

国境やフィールドを飛び越えて、アート、テクノロジー、そして社会がつながるとき、どんな未来の発明が生み出されるのか。
今後、展開されていくFuture Catalystsのプロジェクトは必見だ。

公式リリース

Text by Arina Tsukada

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