公開日:2015年2月6日

第18回 文化庁メディア芸術祭が開幕!

【Art Beat News】エンターテインメント部門大賞にGoogleのゲームアプリ「Ingress」

今回で第18回目となる、平成26年度文化庁メディア芸術祭の受賞作品および功労賞受賞者が決定した。2015年2月4日(水)から2月15日(日)まで 、東京・六本木の国立新美術館を中心に、受賞作品等を紹介する受賞作品展が開催されている。

今年度は世界71ヶ国・地域から3,853作品の応募があり、アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門において大賞や優秀賞、功労賞が選ばれたが、アート部門の大賞は今年度は該当なしとなった。

アート部門の受賞者
アート部門の受賞者

エンターテインメント部門 大賞 『Ingress』 Google's Niantic Labs(創業者:John HANKE)
エンターテインメント部門 大賞 『Ingress』 Google's Niantic Labs(創業者:John HANKE)
Photo: Google's Niantic Labs

エンターテインメント部門の大賞には、Google’s Niantic Labsのゲームアプリケーション「Ingress」が選ばれた。Ingressの受賞理由について、審査委員の飯田和敏氏は、近年のメディア芸術ではこの情報環境の中で「私たちはどこへ向かうのか?」を描くことが課題だったが、これに対して決定的なビジョンを示すことに成功しているとした。また、本展のための特別展示として、三面プロジェクションで『Ingress』のAPIを活用した映像空間が出現している。ゲーム内に登場する「Power Cube」のリアル版となるオブジェも展示されている。

アニメーション部門の大賞に、Anna BUDANOVAの短編アニメーション「The Wound」、マンガ部門の大賞に近藤ようこ(原作: 津原泰水)の「五色の舟」がそれぞれ選ばれた。

The Woundの受賞理由について、審査委員の森本晃司氏は、「動きに躍動感、重さ、ワクワク感や愛嬌があり見ていて気持ちが良い。個々のキャラクターの表現、アイデアなどが丁寧に整理されている。場面毎の緊張感を絶やさず背中を押すように荒々しく続いていく音楽のセンス、そして、どこで映像を止めても、まるで絵本を開いたような完成度のあるレイアウトに驚かされる」と評した。

アニメーション部門 大賞 『The Wound』 Anna BUDANOVA
アニメーション部門 大賞 『The Wound』 Anna BUDANOVA
©Ural-Cinema

マンガ部門 大賞 『五色の舟』近藤ようこ/原作:津原泰水
マンガ部門 大賞 『五色の舟』近藤ようこ/原作:津原泰水
近藤ようこ・津原泰水/KADOKAWA 刊

五色の舟の受賞理由について、審査委員のヤマダトモコ氏は、「世界に潜む残酷さもそのまま、読む者がこぞって美しいと評する品位と、ユーモアまでをも備え、生きる勇気を与えられるこの傑作に、何かを贈り返さずにはおれない」と評した。

今年度も多くの作品が寄せられ、世界71ヶ国・地域から3,853作品の応募があった。そのうち、国内からの応募数は2,035作品と過去最多となり、エンターテインメント部門とマンガ部門の応募数も過去最多を記録した。海外からの応募は、70の国と地域から1,818作品だった。

功労賞には、エンジニアリング・デザイナーの岩政隆一氏、映画評論家/マンガ評論家/海外コミック翻訳家/海外コミック・アニメーション研究家の小野耕世氏、アーティスト/教育者の山本圭吾氏、アニメーション研究者の渡辺泰氏が選ばれた。

受賞作品展は、国立新美術館のほか、シネマート六本木、スーパーデラックスなどでも上映やパフォーマンスなどが開催され、すべてのプログラムは入場無料だ。

第18回文化庁メディア芸術祭 ウェブサイト

執筆:岡徳之(Noriyuki Oka Tokyo

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