【SWITCH × TAB特別企画】ヒリヒリするアート:大友良英・クワクボリョウタ・ 蓮沼執太・ART FROM HOT SPRINGS

SWITCH誌面を特別掲載! 混浴温泉世界 別府現代芸術フェスティバル2015

In 特集記事 by SWITCH-TAB 2015-09-15

別府に、3年に一度、アーティストの力を借りて、かりそめの混浴温泉世界が現れる。2009年以来、「混浴温泉世界」ではこの魅力的な土地を自分の足で歩くことを重視してきた。今回はそれを徹底させ、「アートゲートクルーズ」と「ベップ・秘密のナイトダンスツアー」という、ふたつのツアーを中心に組み立てた。「アートゲートクルーズ」は4人のアーティストのそれぞれの世界へと通じる門、アートゲートを巡る旅。一方、「ベップ・秘密のナイトダンスツアー」は夜の街角で展開するさまざまなダンスを巡る旅。ともにガイドに導かれ、不思議のまちの奥深くに潜入していく。

心の衣服をすべて脱ぎ去って、夏の世の夢のような世界を彷徨う

大友良英

公共の施設のステージに作り上げた、レトロな家電たちが音楽を奏でるフル・オーケストラ。

大友「この芸術祭には音楽家としてパフォーマンスで参加していて、今年初めて展示をやらせてもらえた。でもツアー形式だから「20分」という時間軸が決まっていて、そこで考えた結果がこれ。音楽家だからスコアを書いて、別府の知り合いにもらった古い家電たちをメンバーにして、別府で飼ったレコードをかけて演奏するバンドにしたんだ。予算が無いから一人で来て、10年ぶりに全部一人で作ってる。この作品には、今まで何回も別府に来て繋がった人のことや、感じた歴史が全部入ってる。俺は元々美術家じゃないから、ビジュアル的に「こんな作品が創りたい!」っていう欲望はそんなにない。自分の中にあるのは音楽だけ。美術は一人で作るもんだけど、音楽は常に誰かとやるものだから、ここでの繋がりからこの作品ができてると思う」

クワクボリョウタ

LED電球をつけた鉄道模型がものの影を壁に落とす「LOST」シリーズの別府版。別府で忘れ去られた廃品たちが美しい影となって蘇った。

クワクボ「電車とレールだけを持って別府入りしました。別府には、かつて階下にはレストランとラブホテル、屋上はこどもの秘密基地、地下はスナック街だったビルがあって、他にはないユニークなところですね。作品にあたっては、廃ビルに取り残されているアンテナやマイクロテープなんかの不要品を拾って、オーナーさんに頂きました。完全に忘れ去られた時代の徒花たちです。実はそういうものにこそ「ものの無意識」があって、影にすると面白んです。逆に、高度にデザインされた製品は全然ダメだったりして。僕の作品のテーマの一つは「見ること」です。普段見慣れているものでも、「見る」ことで深く繋がることができる。繋がって感じている自分自身を面白く感じてもらえたらいいなと思います。

蓮沼執太

別府でのリサーチをもとに、かつて別府に暮らした架空の音楽家を作り出す「作曲家の記憶」、地元の人で賑わう銭湯「松原温泉」の浴場に毎時流れるアンビエント音楽をインストールした「松原温泉アンビエント」の2作品を展示。

蓮沼「別府に来たのは小学校以来です。2週間滞在して制作しました。僕は普段からフィールドレコーディングをしているのは、街に対する観察的な行為は馴染み深いこと。そうやって見た別府は、戦災を免れているからか、時代の移り変わりが街に地層のように色濃く残っていました。景色の振れ幅のレンジが広いんですね。それでリサーチのためにまちの人に話を聞くと、みんな言うことが違うんですよ(笑)。でもおじいちゃんたちにとっては、自分の記憶が本当。それを考える行為が面白くて、別府の歴史をリサーチし、人物を立ち上げる作品を作りました。足をとめて考えるような作品になればと思います」

大友良英
ギタリスト、ターンテーブル奏者、作曲家。1959年横浜生まれ。映画やテレビの劇伴作曲のほか、「アンサンブルズ」の名のもとコラボレーションを軸に展示作品や特殊形態のコンサート、一般参加型のプロジェクトも。

クワクボリョウタ
アーティスト、情報科学芸術大学院大学准教授。「デバイス・アート」とも呼ばれる独自のスタイルを生み出す。「10番目の感傷(点・線・面)」(2010年)以降は、光と影を用いて内面で体験を紡ぎ出す作品を手がける。

蓮沼執太
1983年東京都生まれ。音楽作品のリリース、蓮沼執太フィルを組織して国内外でのコンサート公演、映画、舞台、プロデュースなど制作多数。近年は作曲という手法を様々なメディアに応用した個展形式での展覧会も。

混浴温泉世界 別府現代芸術フェスティバル2015
http://mixedbathingworld.com/
開催中(9月27日まで)

Text: SAITO AKIKO

SWITCH-TAB

SWITCH-TAB. 2015年8月20日発売のカルチャー誌「SWITCH9月号」はモダンアートからメディアアートまで、現代美術の最前線を大特集。10月末に森美術館で「五百羅漢図展」を控える村上隆や、東京都現代美術館で展示中の会田家(会田誠、岡田裕子、会田寅次郎)による檄文「文部科学省に物申す」の作品とその全文掲載、福島第一原発付近の帰還困難区域で展示中の「Don’t Follow the Wind」のChim↑Pomなど、今をときめくアーティストが集結! SWITCHがおくる『2015年秋に向けた誌上展覧会』、TABlogでも限定公開中です! http://www.switch-store.net/SHOP/SW3309.html ≫ 他の記事

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