アート界はコロナ危機にどう対応しているか(随時更新)

アーティストや関係者はどのように対応しているのか。情報は逐一アップデートしていく。(編集協力:Mei Fujie)

In Art Beat News by Art Beat News 2020-03-13

展覧会やアートフェアの中止、延期など、新型コロナウイルスの世界的流行の影響はアート界にも及んでいる。行動制限のあるなか、国内外のアーティストや関係者はどのようなアクションを起こしているのかを記録。情報は順次アップデートしていく。

海外の動き(最終更新:3月27日 17:00)

◎グッチが2つのクラウドファンディングに200万ユーロを寄付
グッチは、新型コロナウィルスのパンデミックに立ち向かうため、2つのクラウドファンディングを通じて200万ユーロ(約2億4000万円)寄付を行うことを発表し、寄付用のサイトも設立。グッチのクリエイティブ・ディレクターであるアレッサンドロ・ミケーレと社長兼CEOのマルコ・ビッザーリは次のようなステートメントを発表している。「今私たちは、COVID-19 パンデミックという思いもよらなかった危機に直面しています。私たちはこの脅威に立ち向かうべく、パンデミックにより影響を受けている人々、特に母国であるイタリアで、また世界中で人々を救うために最前線で献身的な仕事をしている医療専門家、医師、看護師の方々を支援します。彼らの惜しみない行動と勇気は、この困難な日々の中で私たちの進むべき道を照らしてくれます。お互いに支え合い、最も弱い立場にある人々を助けることで、私たちはこの危機を乗り越え、これまで以上に団結することができるでしょう」。

◎ワシントンDCが2500万ドルの支援
ワシントンDCの市長は2500万ドル(約27億円)を市内の中小企業、非営利団体、フリーランスに支援することを決定。新型コロナウイルスの感染拡大による影響で収入の25%の損失があることが条件。支援金は従業員の賃金、施設費、家賃などに当てることを目的とする。

◎定額制サービスでアーティスト支援
ニューヨーク在住のアーティストたちがビデオプラットフォーム「The Trickle Up」を設立。これは月10ドルの定額制ビデオプラットフォームで、劇作家、コレオグラファー、歌手などによるオリジナル作品にアクセスすることができる。収益はすべて新型コロナウイルスによる影響を受けたアーティストへ寄付される。「10000人の登録者がいれば、毎月10000ドル(約110万円)を10人のアーティストへ寄付することが可能だ」と登録を呼びかけている。
https://trickleup.uscreen.io/

◎ホイットニー美術館がマスクと手袋を寄付
3月21日、ニューヨーク市のホイットニー美術館は展示作業や作品を扱うために使用するマスク、手袋を集めコロンビア医療センターに寄付した。

▼2020年3月25日 更新

◎ニューヨークで孤立する子どもたちがつながるバーチャール・スペース
地域コミュニティと教育のため、タイムズスクエア、病院など、ニューヨーク市内の様々な場所でアートを提供してきた非営利団体「No Longer Empty」が、休校に伴い家で孤立する子どもたちのためのバーチャル・スペース「NLE NYCapsule」をスタート。毎週金曜日の16時から18時まで、無償のウェブサービス「Zoom」を用いて様々なプログラムを行う。ニューヨーク市に住む14歳から19歳までが対象。
https://www.nolongerempty.org/in-response/nles-youth-led-response-covid-19/

◎フリーランスのための逸失利益計上シート
インディペンデント・クリエイティブ・プロデューサーのローラ・スウィーニーが、アート関連のフリーランスの逸失利益をまとめるためのテンプレートを作成。新型コロナウイルスの影響で仕事をキャンセルされた人々が、援助申請のために政府や財団に提出するフォームとして活用可能。
http://www.laurasweeney.co.uk/recently/covid-19-lost-earnings-log

◎シドニー・ビエンナーレがオンライン上で企画を継続
3月24日から展示を無期限中止中の第22回シドニー・ビエンナーレが、オンラインのGoogle Arts & Culture platform上に場所を移し、展示続行の考え。主催者はプレスリリース内で「バーチャル・ビエンナーレは、ライブコンテンツ、バーチャル鑑賞、ポッドキャスト、インタラクティブなQ&A、ツアーなどを通して展示やプログラムをより活気づけること」「私たちがいままで以上に重要視しているのは、展示の核となるテーマである、お互いにつながり、助け合い、耳を傾け、協力し、癒す方法を見つけることです」と述べている。

◎J・ポール・ゲティ美術館がオンラインで展示、アート・ブック、ポッドキャスト、映像を公開
3月19日、アメリカで初めて州全体に外出禁止令が出されたカリフォルニア州。そんななか、ロサンゼルスのゲティ美術館は、オンライン展示に加え、所蔵するアート・ブックや映像、ポッドキャスト同館のブログで公開。中世からルネサンス初期の彩飾写本の制作方法、タペストリーの編み方、ビジュアル・ポエムのつくり方などは、YouTube上で講義形式で公開している。
http://blogs.getty.edu/iris/explore-getty-art-resources-closed-coronavirus/

▼2020年3月19日 更新

◎アート・バーゼルがウェブ上のバーチャル・ギャラリーを公開
「アート・バーゼル香港2020」の中止を受け、アート・バーゼルがウェブ上のバーチャル・ギャラリーを公開。50周年記念として当初より準備していたこのサイトでは、世界の約230軒のギャラリーの作品をオンラインで鑑賞することが可能。各ギャラリーはバーチャル展示向けに独自のコンセプトを掲げ、ホワイトキューブの空間にとらわれない自由な展示を行なっている。3月20日から25日までの期間限定公開。
https://www.artbasel.com/

◎シアトル市長が110万ドル(約1億2000万円)でアーティスト支援
シアトルの市長、ジェニー・ダーカンは政府の支援金として、経済的に悪影響を受けたクリエイティブ職の人々や文化組織を支援すると発表。100万ドルはアートや文化組織への投資のための基金の創設のために使用され、残りの10万ドルが緊急救済金としてアーティストらに振り分けられる。

◎オペラやコンサートを無料配信
メトロポリタン歌劇場ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団は3月31日までの期間限定で、オペラや音楽コンサートの無料デジタル配信をスタート。

◎アメリカ博物館協会(AAM)が救済基金のための署名活動をスタート
1906年の設立以来、博物館の基準やベストプラクティスの策定を支援、知識の収集と共有を行なってきた非営利団体「アメリカ博物館協会(AAM)」がアメリカ議会に向け、博物館や非営利団体への救済基金を要請する署名活動をスタート。署名はオンラインで可能

◎ユダヤ教徒のための非営利団体「92nd Street Y」がライブストリーム配信
1800年代後半、ユダヤ教徒のための市民活動を促進するために設立された非営利団体「92nd Street Y」。コンサート、講義、陶芸やドローイングを含む数百ものアートの授業をライブストリーム配信する。

◎LA アート・ブック・フェアの参加者支援
4月3日より開催予定だったLA アート・ブック・フェア。開催中止に伴い、展示を予定していた人々のサポートを目的に、販売元のURL、リーディングリスト、音楽リストなどを公式サイトで随時アップデート。プログラムのライブ・ストリーミングも行う予定だという。

◎アメリカ最初の地方墓地、グリーン・ウッド墓地は閉鎖せず
1838年、ブルックリンに完成したグリーン・ウッド墓地は歴史的文化的価値が高く、その景観の美しさからアメリカ有数の観光地として知られる。様々な美術館やギャラリーが休館される中、Twitterでは「平穏と癒しを求めるすべての人をこの歴史的地に迎える」と表明し、墓地を開放し、無料のウォーキングツアーを継続して行っている。

▼2020年3月17日 更新

◎「ルイ・ヴィトン」のLVMHが除菌ジェルを生産、無料配布へ
アート・コレクターとしても知られるベルナール・アルノーが会長を務めるモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)が、自社の香水工場で除菌ジェルを生産することを決定。医療機関などに無料で配るとThe Cutは伝えている。

◎ボストンで美術救済基金が設立
ボストン市長芸術文化事務所(Mayor’s Office of Arts & Culture Boston)は、アーティスト救済基金を設立。新型コロナウイルスの影響で収入減となった地元のアーティストを支援することを発表。個人の寄付も受け付けている。

◎展示機会を奪われた作品を称えるサイト「The Social Distancing Festival」が誕生
トロントの劇作家が「リビングからでも芸術的なコミュニティを感じ続けることができる」ためのサイトを設立し、新型コロナウイルスの影響で未発表となった作品を募集中。説明には次のようなことが書かれている。「これまでの応募作品には、リハーサル映像、ウェブカメラで撮影したキャストとのシーン、過去のワークショップの録音、デザインプラン、ウェブカメラに向かって興奮した様子で歌っている映像などがあります。フォーマルでも洗練されていなくてもOK!」
https://www.socialdistancingfestival.com/

◎アーツ・カウンシル・イングランドがアーティストやフリーランサーを支援する計画を発表
アーツ・カウンシル・イングランドは、今後3ヶ月間の最優先事項として、美術館、博物館、図書館で働く人々を支援すること、そしてアーティストやフリーランサーが失った収入を保障する補助金プログラムの計画を発表。また、すでに支援中の組織については助成金の支払いを前倒しも可能としている。「これは始まりにすぎません。私たちは現状把握のために部門全体から情報を収集しています。また、短期的および長期的な財務上の影響について、デジタル、文化、メディアおよびスポーツ省の同僚と定期的に話し合いを行っています」としている。

◎アーティストや関係者のための資金リスト
3月13日、ニューヨーク市に拠点を置く非営利団体「Creativa Capital」はコロナ騒動を受け、あらゆる分野で活躍するアーティストと関係者のための基金、助成金などの資金リストを公開。随時情報はアップデートされる。

▼2020年3月13日 更新

◎ドイツの文化大臣がアーティスト支援の声明を発表。
「文化は、良い時にのみ与えられる贅沢ではありません」

ドイツの文化大臣、モニカ・グラッターズが3月11日に声明を発表。この状況が文化、クリエイティブ産業に大きな負担をかけ、とくに小さな文化機関やアーティストが大きな苦痛にさらされる可能性を示唆。人の集まるイベントのキャンセルはやむを得ないとしながらも、「文化は、良い時にのみ与えられる贅沢ではありません」「私たちはアーティストたちを失望させません」として、政府の次期援助対策協議でアーティスト支援を議題に上げることを提案した。

◎ART Power HKが発足
3月4日、新型コロナウイルスの影響と政治危機を受け、香港のアートコミュニティがオンラインプラットフォーム「ART Power HK」を設立。香港の美術館やギャラリー、オークション・ハウスやメディアなど68の機関が参加するこのプラットフォームでは、オンラインでの作品鑑賞、スタジオ・ビジット、インタビュー、トークなどを発信する予定だという。現在、ドネーションを受付中。

◎イランで国際マンガコンテストを開催
感染拡大が深刻化しているイランでは、「We Defeat Coronavirus(打倒・新型コロナウイルス)」をモットーに、イランの芸術局と厚生省が協働してマンガコンテストを開催中。主催者は「イランの人々は、イランだけが影響を受けた国ではないということを知るべきだ。人々に希望を与え、恐怖を取り除くというテーマは、このウイルスとの戦いにおいて重要な役割を果たすだろう」とコメント。応募締め切りは3月30日。

◎カステッロ・ディ・リヴォリ現代美術館のバーチャル・ツアー
中国に次ぐ感染者数(3月12日時点)が発表されているイタリア。リヴォリ城に併設された「カステッロ・ディ・リヴォリ現代美術館」では、オンライン上の会場「Digital Cosmos」でバーチャルツアーを配信し、コンテンツの充実を図っている。館長のキャロリン・クリストフ・バカルギエフはこの動きを「美術館の公務」だと語る

◎ウフィツィ美術館がソーシャルメディアキャンペーンを開始
フィレンツェのウフィツィ美術館は休館を受け、「#UffiziDecameron」と題したソーシャルメディアキャンペーンを開始。人々がアートにつねに触れられることを目的に、美術館の公式InstagramTwitterでは毎日作品を紹介。3月10日にはFacebookページを開設し、学芸員のお気に入り作品の紹介ビデオなどを公開している。

◎シアトル在住のアーティストへの救済基金
シアトル在住のアーティスト、イジョマ・オルオ(Ijeoma Oluo)は3月10日、イベントや展覧会の延期・中止に伴い打撃を受けたアーティストを支援するための救済基金「Seattle Artists Relief」を設立。目標額は10万ドル(約1000万円)で、シアトルが拠点のアフリカン・アメリカン、ネイティヴ・アメリカン、ハンディキャップを持つ作家などを優先しながらも、なるべく多くの作家を支援する意向。なお、3月13日時点で6万ドル以上が集まり、すでに分配もスタートしている。

◎アーティストとコレオグラファーのための緊急医療補助金
ニューヨーク芸術財団とロバート・ラウシェンバーグ財団が提携し、アメリカ在住アーティストとコレオグラファーに向けの緊急医療補助プログラム「Rauschenberg Emergency Grants」を設立。5000ドルを上限に、保険料、処方箋料、一部の歯科治療なども含めた医療費の補助を行う。

◎孤独感緩和のためのフリーコールアプリ
アーティストのマックス・ホーキンス、ダニエル・バスキンは自宅待機や隔離を余儀なくされる人々のための孤独感緩和アプリ「Quarantinechat(検疫チャット)」をローンチ。登録、サービスを開始すると、世界中の誰かとランダムにつながり通話ができる。開発は新型コロナウイルス騒動以前に行われていたが、今回の騒動を機に「Quarantinechat」と命名され、人気を博している。

日本国内の動き(最終更新:3月27日 17:00)

◎3日間限定のオンライン上映会「RAM PRACTICE 2020 – Online Screening」
東京藝術大学大学院映像研究科が主催する「RAM Association(メディアプロジェクトを構想する映像ドキュメンタリスト育成事業)」が、3日間限定のオンライン上映会「RAM PRACTICE 2020 – Online Screening」を開催。日程は2020年3⽉27日9:00〜29日26:00。 フォームより申込み後、配信URLが送られてくる仕組み。参加作家は倉谷卓、小林太陽、坂本裕司、ジョイス・ラム、土本亜祐美、大和由佳、吉田高尾、エルサムニー・ソフィー、かわかみしんたろう、佐藤未来、Eclipse Project、岡田直己、青柳菜摘、オル太、カニエ・ナハ、玄宇民、潘逸舟。
http://geidai-ram.jp/rampractice2020/

◎東京都現代美術館が展示風景を公式サイトで公開中
4月13日まで臨時休館中の東京都現代美術館。3月14日から開催予定だったオラファー・エリアソン「ときに川は橋となる」の展示風景を写真で公開中

▼2020年3月25日 更新

◎京都市+京都芸術センターの「おうちでアート」
京都市と京都芸術センター、アーティストが協働し、子ども向けの情報まとめページ「おうちでアート」をスタート。YouTube上で中屋敷智生、いしいしんじ、倉田翠らが質問に答えるコーナー、Twitter上でのよろず相談室、アートを楽しむリンク集などを公開している。随時更新。
https://www.kac.or.jp/28151/

▼2020年3月19日 更新

◎「OIL by 美術手帖 オンライン・ビューイング」がオープン
日本各地のアートフェア中止・規模縮小を受け、アートECサイト「OIL by 美術手帖」が、アート作品の閲覧・購入が可能な特設サイト「OIL by 美術手帖 オンライン・ビューイング」を公開。ウェブ版「美術手帖」によると、参加ギャラリーはアートコートギャラリー、アートフロントギャラリー、AKIO NAGASAWAなど約50軒。公開期間は3月20日〜4月5日。

▼2020年3月17日 更新

◎東京国立近代美術館「ピーター・ドイグ展」から生中継
臨時休館を受け、3月18日19:00より、「ピーター・ドイグ展」を会場から生中継(ニコニコ生放送)。桝田倫広(東京国立近代美術館 主任研究員)、蔵屋美香(東京国立近代美術館 企画課長)五月女哲平(アーティスト)が登場する。

▼2020年3月13日 更新

◎東京都写真美術館がYouTubeで展示風景を公開
東京都写真美術館は、臨時休館により会場では見ることのできない「日本初期写真史 関東編」展と「写真とファッション」展の様子をYouTube上に公開。「日本初期写真史 関東編」展は担当学芸員・三井圭司による解説も公開されている。

◎東京国立博物館がYouTubeで展示風景を公開
東京国立博物館は、臨時休館により会場では見ることのできない特集展示「おひなさまと日本の人形」と特集「朝鮮王朝の宮廷文化」の展示風景をYouTube上に公開。担当研究員・三田覚之と猪熊兼樹の解説も公開されている。

◎太田記念美術館がソーシャルメディアキャンペーンを開始
太田記念美術館が3月4日よりTwitter上で「#おうちで浮世絵」キャンペーンを展開。「自宅で過ごす方のために、心がなごむカワイイ浮世絵を紹介しています」として、毎日浮世絵を紹介している。これに賛同するかたちで藤沢市藤澤浮世絵館すみだ北斎美術館も同様のキャンペーンを展開中。

◎ピーター・ドイグ展のカタログ(一部)を期間限定公開
臨時休館を受け、東京国立近代美術館で開催中のピーター・ドイグ展のカタログに収録された、小説家・小野正嗣の書き下ろしエッセイと本展企画者の主任研究員・桝田倫広の論考を特別公開。公開期間は3月16日15:00まで(予定)。

◎オンライン映像祭「Films From Nowhere」
映像作家・佐々木友輔とアーティスト・荒木悠がオンライン映像祭「Films From Nowhere」を3月9日〜29日に開催。参加作家は荒木悠、池添俊、内山もにか、海野林太郎、木野彩子、佐々木友輔、地主麻衣子、波田野州平、渡邉ひろ子。Vimeoにて、1000円のレンタル料金支払いから72時間、全作品を視聴できる。ステートメントは関内文庫のページにて公開中。

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