公開日:2020年7月15日

誰もが思い出して、生まれ変わる:「おさなごころを、きみに」が東京都現代美術館で開催

子どもから大人まで楽しめる、新旧メディアアートを体験する展覧会が開催

メディアテクノロジーや映像体験に触れ、かつて誰もが持っていた「おさなごころ」を思い起こし、問い直す展覧会「おさなごころを、きみに」が東京都現代美術館で行われる。会期は2020年7月18日〜9月27日。

吉岡徳仁《ROSE》2013年 東京都現代美術館蔵 Photo by TOKUJIN YOSHIOKA Inc.

プログラミング教育が小学校で必修化され、「科学(Science)」「技術(Technology)」「工学(Engineering)」「数学(Mathmatics)」に「リベラルアーツ・芸術(Art)」を加えた統合的な教育手法「STEAM教育」が注目を浴びる今日。本展は現代社会におけるテクノロジーの進歩や浸透などを背景に、プログラミングを用いた1960年代から今日までの「生成される芸術」や「芸術と技術の融合領域」作品、VR(人工現実感)、AR(拡張現実感)、人工知能などの作品群をわかりやすく紹介する。

いっぽう、「こどものための現代美術展」であると同時に、大人とこどもを往来するネオテニー(幼形成熟=こどもの姿でありながら大人である)的なこころのありかたをベースに新旧のアートやテクノロジーを再考。様々な年齢層が「おさなごころ」を持って見慣れた世界におもしろさを見出し、生まれ変わるような体験ができる。

ジュスティーヌ・エマール《Co(AI)xistence》2017年、ビデオインスタレーション(12分)with 森山未來 / オルタ(大阪大学石黒研究室、東京大学池上高志研究室) ©Justine Emard / Adagp, Paris 2020

展覧会は、視覚を重視しがちな美術表現に対し、触ることに重きを置きそのおもしろさや重要性を見出していく「触覚」、言葉や文字などの言語表現を、体を動かす身体表現で追体験する試みがなされる「身体、音と言葉」。そして鑑賞者の記憶やイメージにアプローチするため、歴史的資料から新しい作品まで新旧メディアに触れる「忘却」、拡大する宇宙を思い描き、鑑賞者がクリエイティブな想像とともに生まれかわれるような展示が行われる「銀河」などのテーマで構成。

出品作家は、名和晃平、吉岡徳仁、8K作品上映「MADD.作品集」、GRINDER-MAN、安藤英由樹、藤木淳、のらもじ発見プロジェクト、錯視ブロックプロジェクト、ジュスティーヌ・エマール、phono/graph、IDEAL COPY、CTG、幸村真佐男、森脇裕之、小阪淳、AR三兄弟、Rhizomatiks Research / ELEVENPLAY / MIKIKO / 真鍋大度 / 石橋素 / Kyle McDonald、渡邊淳司(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)、落合陽一 × 日本フィルプロジェクト(Visual: WOW) ほか。

GRINDER-MAN《HERO HEROINE》2018年 Supported by ASUS
名和晃平《PixCell-Bambi #10》2014年 東京都現代美術館蔵 Photo by Ichiro Otani

関連イベントでは、高精細映像8Kによるパブリック上映や、展示のリモート開催、教育機関と連携しながら参加アーティストによるショーイングやトーク、子どもから大人まで参加可能なワークショップも開催予定。

クライマックスでは、鑑賞者が見慣れた世界の面白さを取り戻すため、『はてしない物語』(ミヒャエル・エンデ作)のように、忘れていた「本当の名前」を受け取るという仕掛けもある本展。まるで生まれかわるように、新たな気持ちで美術館を後にする体験を味わえるかもしれない。

※最新情報は美術館ウェブサイトをご確認ください。

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