連続講座「不確定地帯 コンセプチュアル・アートと写真」(全5回)の特別編「ジェフ・ウォール Jeff Wall」が開催されます。ジェフ・ウォールは、今、写真について考えようとするときに、もっとも大きな存在のひとりかもしれない。ことに注目に値するのは、彼の作家としての仕事が、密度の高い批評的・歴史的考察によって支えられている点だ。コンセプチュアル・アートや写真史に関する彼の批評はそれ自体で高い評価に値するが、彼は自らの実践をそのような理論的考察との応答関係の中におく。そのウォールの仕事の全貌が、先だってのニューヨーク近代美術館での回顧展や、著作集の出版などによってこれまで以上に把握しやすくなった。そういった状況の変化をうけて、「写真についての写真」ともいえるウォールの仕事から何が汲みとれるのか、あらためて考えてみたい。