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三好和義 「京都の御所と離宮 帝の楽園」

セイコーハウス銀座ホール
終了しました

アーティスト

三好和義
春の陽光を受けて白く輝く前庭を、ぐるりと囲む回廊の一角。庇(ひさし)とその影によって切り取られた斜方形の額縁の中に、左右に桜と橘を従えた一宇の正殿が見える。前面には内部に通じる階(きざはし)がかかり、その奥の暗闇が場の神秘性をいっそう高めているようだ。京都御所・紫宸殿。大胆な構図が凛とした空気を際立たせ、風格のある建物と明るい空や庭との対比が鮮烈な印象を残す写真である。

国内外のさまざまな「楽園」を撮り続ける写真家、三好和義氏。今回、氏が選んだテーマは「帝の楽園」。京都御所、仙洞御所、修学院離宮、桂離宮の四施設をじっくりと一年間かけて撮りおろした。

撮影された場所や色彩の表現以外にも見所は多い。何よりも、貴人が座った、あるいは佇んだ場所から、その目線で捉えることにこだわったという三好氏。「天皇や上皇が見た風景は一体どのようなものだったのか。その心境に思いを馳せて、私自身も和歌を詠むような気持ちで撮りました。貴人の気配を写すという狙いに添った、臨場感のある写真をお見せできるのではないかと思います」。

「さまざまな史料にあたって、朝方に儀式を行ったという場所は、暗い時間に撮影しました。桂離宮の新御殿では、後水尾(ごみずのお)上皇を迎える時にそうしたと聞いたことから、襖や障子をすべて開け放って撮っています」。説明とともに見せていただいた写真は、紅葉の照り返しが部屋を彩り、庭と室内が一体化したような、えも言われぬ美しさだ。また、桂離宮は観月の名所でもあることから、満月の光での撮影も行った。そのほかにも、月を意匠に取り入れた欄間や襖の引手など、繊細な美意識と遊び心が随所に息づいており、三好氏の意欲を大いにかきたてた。桂離宮だけでも20回以上は通ったそうだ。

和光では初めて、二つのホールでの併催という点も注目される今回の写真展。和光ホールでは京都御所、仙洞御所、修学院離宮を、和光並木ホールでは桂離宮を撮影した作品が出展される。三好氏は「こんな世界が今も残されているのだという感動を少しでもお伝えできればと、解説文も丁寧に作りました。文化的な背景と合わせて、茶の湯を嗜み、歌を詠み、管絃に興じる貴人の姿を心に浮かべて楽しんでいただければと思います」と結んでくれた。

かつてない視点から、余すところなく収められた総数100余点におよぶ「帝の楽園」。この知られざる日本の雅にゆったりと遊ばれてはいかがだろうか。なお、会場では今回の出品作を収めた三好氏の写真集『京都の御所と離宮』も販売される。

スケジュール

2010年1月14日(木)〜2010年1月30日(土)

開館情報

時間
11:0019:00
最終日は17:00まで
休館日
年末年始休館
入場料無料
展覧会URLhttp://www.wako.co.jp/exhibitions/208
会場セイコーハウス銀座ホール
https://www.wako.co.jp/exhibitions/
住所〒104-8105 東京都中央区銀座4-5-11 セイコーハウス銀座6F
アクセス東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線銀座駅B1出口直結、東京メトロ有楽町線銀座一丁目8番出口より徒歩4分
電話番号03-3562-2111
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