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「近藤陶芸の世界 ―伝統と革新―」展

セイコーハウス銀座ホール
終了しました

アーティスト

近藤悠三、近藤豊、近藤濶、近藤髙弘
明治以降、それまで「精巧な手仕事」という認識のもとに作られてきた陶芸は、西洋の近代美術に倣(なら)い、芸術品としてのあり方を模索するようになった。専門職人の分業から個性を持った作家による一貫制作へ。その時代の潮流と思想に触れた近藤悠三氏(1902―85、重要無形文化財保持者)は、芸術としての新しい染付表現を確立し、一つの頂点を極めた。厳しい修練と自己研鑽は、伝統的な世界に変革をもたらしたのである。

悠三氏の長男、近藤豊氏(1932―83)が独自の世界を展開したのは1960年代半ば、前衛の空気が満ちあふれた時代である。豊氏もまた、時代に呼応する新しい陶芸を追求した。悠三氏を師としながらも、父とはまったく異なる抽象の表現に取り組み、モダンでありながらも生命の根源に迫ろうとする作品が生まれた。彼の早すぎた死は、陶芸が抱えていた矛盾を直視し、極限まで考え続けたゆえだったかもしれない。

次男の近藤濶氏(1936―)は、悠三氏の染付技法を継承する道を選択したといえよう。抽象の力で伝統を乗り越えようとするのではなく、「用」と「美」の均衡や芸術と生活の調和による新しい世界を目指している。その繊細な染付表現は、日常に潤いや安らぎを与え、人と自然をつなぐ力を持つ。伝統を遵守しながらも埋没せず、現代の生活スタイルや感性の中で生きる美が追求されている。

濶氏の長男、近藤髙弘氏(1958―)は陶芸というジャンルの未来を切り開く試みを続ける。陶芸を美術表現へと高めた祖父、陶芸という枠を個の感性で超えようとした伯父、伝統美を現代に生かす父。それらを背負った上で、髙弘氏はその思考と格闘を独自の表現活動で展開する。

陶芸は今、明治以来の大きな転換点を迎えているのかもしれない。陶芸を探求しながら、その時代と正面から向き合ってきた近藤家四作家の作品を見渡す今回の展覧会は、陶芸の過去と現在を知り、そして未来を予感する貴重な機会となることだろう。

会期中、会場にてギャラリートークを予定しております。
3月24日(水)濶氏、4月8日(木)髙弘氏 各日ともに14時~

[画像: 近藤 濶 作 「ぶどう染付釉裡紅壺」 径24×高さ24cm]

スケジュール

2010年3月18日(木)〜2010年4月11日(日)

開館情報

時間
11:0019:00
最終日は17:00まで
休館日
年末年始休館
入場料無料
展覧会URLhttp://www.wako.co.jp/exhibitions/215
会場セイコーハウス銀座ホール
https://www.wako.co.jp/exhibitions/
住所〒104-8105 東京都中央区銀座4-5-11 セイコーハウス銀座6F
アクセス東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線銀座駅B1出口直結、東京メトロ有楽町線銀座一丁目8番出口より徒歩4分
電話番号03-3562-2111
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