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宮下実 「春夏秋景」

セイコーハウス銀座ホール
終了しました

アーティスト

宮下実
ベルギー西部の街や村では、春が瞬く間に広がる。光と陰に彩られた画面から、開け放たれた窓に吹く清涼な風や、若葉やバラの馥郁たる香りまで漂ってくるようだ。「フランドルの春」は、宮下 実氏がたびたび訪れていたヨーロッパの小さな街に着想を得て創造された。宮下氏はスケッチ取材を行った森について、「リンゴの花の白が、淡い黄緑の中で滲み、渋い紅色の繁みが所々に配置され、補色の効果を上げている。石造りの番小屋の煙突からは、紫煙が立ちのぼり、(中略) どこを切り取っても、春色溢れる絵になりそうな、勿体ないような景色であった」と書いている。豊かな色彩感覚は研ぎ澄まされた造形力によって、品格の薫る作品へと昇華したのである。

絵画の構図による分析でも知られる宮下氏は、この作品の制作過程について「透視図法の消失点を意図的に増やし、画面の平面化をはかった」と明かしている。こうした緻密な技法について、惜しみなく伝える氏の姿勢は、20代後半で初めて訪欧した体験から生まれているという。パリやバルセロナで、歴史に培われた建築と絵画の密接な関係を目の当たりにし、名画に受け継がれた構図法の系譜に衝撃を受けたのである。そして、より若いうちに良い環境に触れることと、構図の重要性を学ぶ必要性を痛感。この刺激はその後、学生たちにヨーロッパ研修を勧める原動力にもなった。

近年まで訪欧取材による精力的な創作と、教授としての活動を両立させていた宮下氏は、今回の個展の準備をしていた昨年8月に、惜しくも逝去された。待ち望んでいた絵画ファンが多いだけに、残念でならない。和光ホールには、小品から100号の大作まで、2006年から2010年夏にかけての新作が40数点揃う。創作にも指導にも貫かれた、画家の明快で真摯な視線が、そこにある。

[画像: 宮下実 「フランドルの春」 50号F]

スケジュール

2011年7月16日(土)〜2011年7月22日(金)

開館情報

時間
11:0019:00
最終日は17:00まで
休館日
年末年始休館
入場料無料
展覧会URLhttp://www.wako.co.jp/exhibitions/270
会場セイコーハウス銀座ホール
https://www.wako.co.jp/exhibitions/
住所〒104-8105 東京都中央区銀座4-5-11 セイコーハウス銀座6F
アクセス東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線銀座駅B1出口直結、東京メトロ有楽町線銀座一丁目8番出口より徒歩4分
電話番号03-3562-2111
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