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瀧本光國 「彫るもの、彫ること」

東京画廊+BTAP
終了しました

アーティスト

瀧本光國
このたび東京画廊+BTAPは、木彫家・瀧本光國の個展「彫るもの、彫ること」を開催いたします。当画廊では2回目となる個展では、作家が1990年代後半から制作を続けている<水>や<雲>などの不定な形の木彫シリーズから、最新の作品を展示いたします。

現代アートという言葉が流布している昨今、瀧本の肩書の「木彫家」という言葉はどこか懐かしい響きさえ感じさせます。現代アートの表現といえばコンセプトが優先しがちですが、木彫には素材や技術が最も重要な要素となります。木という素材と、彫るという作家の身体が習得した技術によって、彫られた形が現れ、見る者にはその全体が伝えられます。この一連の過程を体感することに懐かしさを覚えるのはなぜでしょうか。

瀧本は、2002年の個展の際にこう述べています。

「『瀧』の作品といって、水を木彫で彫ってもリアリティーがない。瀧をつくることは瀧の形から離れることであり、取り巻く周辺の空気みたいなものをつくること、逆にそれに近づくことではないかと。制作のプロセスでも、空の部分をつくることが最初であって、したがって何も無いところから形をつくっていくということから始まっていくというか・・・」

すべての造形は、<つくること>の結果として何らかの<形>に行きつきます。

しかし、多くのもの見、それらをただ見過ごしてしまうことで、「形」とは「つくること」から始まっているのだということをつい忘れてしまいがちです。

つまり、現代の情報化社会は、美術にかかわらず世界中のありとあらゆる新旧の表現を一目瞭然のものとして目にし、接することができます。しかし、それは表現が<形をつくること>という行為や過程によって導かれているということに、もはや立ちもどれなくなってしまっているかのようでもあります。瀧本が<不定の形>を彫ろうとする理由はそこにあるのかもしれません。瀧本がこだわる木彫の表現形式は、我が國の歴史のなかで神や仏につながる依り代でした。日本の風土(自然と歴史)に培われた素材とつくる人との関係は切っても切れないものでした。

何のために彫る(つくる)のか、彫る(つくる)こととは何なのか? 何を素材にし、どのような道具と技術で形を生みだすのか?

表現のバリエーションは増えても、「つくること」の過程が軽視され、作品の質感そのものが失われつつある今こそ、作品という<形>が包含する聖的な質感をいかに回復するか、その答えを見出そうとすることこそ、現代の私たちに残されている可能性なのかもしれません。

オープニング・トーク 
2012年1月21日(土)|15:00-16:00
「つくるもの、つくること」
瀧本光國×林武史(石彫家、東京藝術大学美術学部彫刻科准教授)

スケジュール

2012年1月21日(土)〜2012年2月25日(土)

開館情報

時間
12:0018:00
休館日
月曜日、日曜日、祝日

オープニングパーティー 2012年1月21日(土) 16:00 から 00:00 まで

入場料無料
会場東京画廊+BTAP
http://www.tokyo-gallery.com/
住所〒104-0061 東京都中央区銀座8-10-5 7F
アクセスJR新橋駅銀座口より徒歩4分、東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A3出口より徒歩5分、都営地下鉄大江戸線・ゆりかもめ汐留駅5番出口より徒歩5分
電話番号03-3571-1808
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