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笹岡啓子 「久万山真景」

photographers’ gallery
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アーティスト

笹岡啓子
本展では、2009年に町立久万美術館(愛媛県)によって企画された展覧会「歸去來兮(かへりなん いざ)―[久万]再発見 旅人のレンズ」に出品された笹岡啓子の作品《kuma triptychs》と《kuma diptychs》を展示致します。久万高原町は愛媛県北部に位置し、面河渓谷や久万川などの清流が流れ、霊峰・石鎚山をはじめとする山々に抱かれた自然豊かな里山です。そこには先祖代々の家に住み、庭には四季折々の草花を植えて、近隣の人たちと親しく向き合う、なごやかな暮らしがあります。一方で、町村合併を繰り返した県下最大の行政区域のなかでは、過疎化と高齢化が進み、いわゆる「限界集落」とよばれ、集落間でさまざまな問題を抱えてもいます。旅人によって撮影された作品を通じて、自らの地域を問い直そうという美術館の依頼により、笹岡は2008年夏から2009年春にかけて久万高原町を撮影しました。笹岡はまず、江戸時代後期に松山藩絵師・遠藤広実によって描かれた《久万山真景絵巻》(町指定文化財・久万美術館蔵)とのコラボレーションを試みました。《kuma diptychs》と題された作品は、四国八十八カ所第四十五番札所の岩屋寺をはじめ、26景が描かれた絵巻の場所を、笹岡が地元の人々に尋ねながら同定し、撮影したものです。植林により150年前とは大きく異なる山々の姿など、開発の歴史や地勢の変化が明確になる一方で、描かれた絵巻の場面に近い形をとどめる奇岩など、地域の人々が守り引き継ぐものが見出されていきます。もうひとつの作品《kuma triptychs》は、絵巻の撮影プロジェクトとは別に、笹岡が現在の久万高原町を撮影したものです。山を崩すのではなく、山を育て、ともに暮らしてきた地域の人々が作り出す現在の風景を、笹岡は「旅人=外部」の眼で写し撮っていきます。これらふたつの作品からは、その背景にある久万高原の記憶と物語が掘り起こされ、豊かな風土が新たに紡ぎ出されています。

[画像: 笹岡啓子 “kuma diptychs” (2009) Cプリント 50x50cm, 町立久万美術館]

スケジュール

2012年5月8日(火)〜2012年5月20日(日)

開館情報

時間
12:0020:00
備考
月曜日は休み
入場料無料
会場photographers’ gallery
http://www.pg-web.net/
住所〒160-0022 東京都新宿区新宿2-16-11-401
アクセス都営新宿線新宿三丁目駅C7・C8出口より徒歩2分
電話番号03-5368-2631
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