昭和初期から2001年に他界するまで変わらず創造精神を発揮し続けた美術作家、斎藤義重が晩年に独自の教育理念を具現化させたのが東京芸術専門学校(Tokyo School of Arts = TSA)でした。その卒業生有志が1998年以来ほぼ毎年開催するグループ展が、「表現される現在」です。今回の題名は「ゼロイスト、大事なこと/大切なもの」。その基底に流れる精神は「反グローバリズム」です。いまや共通の市場という原理が世界のいたるところ、あらゆる分野に浸透し、本来ローカルなものによって育まれてきた私たちの生活を、文化を、剪定し、均質化していきます。私たちはその中にあって、常に自分にとって一番大事なこと、大切なものを基点に据え、そこから独自の作品生成原理をたちあげ、いかなる選別の手も恐れず、アナーキーに表現していきたい。