初紹介となります神山貴彦は空間とオブジェクトの間に生じる関係性を丁寧に拾い、それをさりげなく提示してみせるようなインスタレーション作品を中心に制作しています。貴志真生也は、制作のプロセスにおいて、手順や方法論に偏重した作業から結果として発生した造形が作品として提示されるという、立体/インスタレーション作品を制作しています。佐藤克久は、制作の一挙一動に細やかに心を砕いた絵画を制作しています。杉本圭助は、パフォーマンスから平面、インスタレーションまで総括した制作活動を行っています。谷中佑輔は、何かに触れること、またその触れるという行為における対象物との距離をテーマに彫刻的な作品を制作しています。今展覧会は、作品が在ること、そしてその佇まいから一体何を感ずるべきなのかを思考するためのものです。ミニマリズム、コンセプチュアル・アート、アルテ・ポーヴェラやもの派など、素材や作品そのものの在り方を問うかつての動向を参照すれば、今回の5名の作家の制作姿勢にもそれらと同調するストイシズムを見ることができます。彼らは、作品の「JUST THE WAY IT IS(あるがまま)」を飾り気もなく示しつつも、背後には我々にとって未踏の領域を覗かせています。しかし、別段シリアスと言う訳ではないのです。むしろ全てに対して「JUST THE WAY IT IS(結局その程度のもの)」と半笑いに白を切るような妙な軽やかさで、我々に思索を促すのです。