The John Riepenhoff Experienceは、ミニチュア版の展示空間です。壁と床は白く塗られており、床には人間の頭部がすっぽり入るサイズの穴が開けられています。観賞者は、脚立を登り、穴に頭を入れることで、はじめて会場内を見ることができます。そこでは、空間のスケールにあわせて縮小された作品で構成される、リーペンホフあるいは彼の仲間のキュレーションによる展覧会(個展/グループ展)が開催されてきました。このプロジェクトは、遊び心に溢れたコラボレーション精神という点で、リーペンホフの他のプロジェクトと響き合うものです。招待されたアーティストがミニサイズの「経験」において起こす小さなジェスチャーは、それぞれに、大きなアイディアへと繋がっています。そこでは、親密な距離感による観賞経験を通じて、スケールの推移が起こるのです。そのとき同時に指し示されるのは、人々のアイディアを後押しするためのインフラやサポートを構築するべく、ギャラリーをはじめとする文化施設が具現化させる想像力のあり方そのものでもあります。その意味で、John Riepenhoff Experienceは、ギャラリスト、アーティスト、そして観賞者に対する支援と称賛の手紙であると言えるでしょう。