終了した展覧会・イベントです

阿部祐己 「霧のあと」

銀座ニコンサロン(ニコンプラザ内)
終了しました

アーティスト

阿部祐己
幼少の頃から足繁く通った霧ヶ峰は、名前の由来どおり、しばしば濃い霧に包まれる。
草原の中で視界が霧に覆われると境目が消え、どこまでも先へ続いているかのような錯覚を覚えた。
春になると、山には火が放たれる。火入れは人為的に形成された草原の維持に一役買ってきた。
ある年、風に煽られた炎が防火帯を越え、山へ燃え広がる山火事騒ぎがあった。
数ヶ月後、草原は元の緑に姿を変えたが、焼け焦げた白樺の森は数年後に切り落とされ、姿を消した。
かつて山では山岳信仰が盛んだったという。秋に草原に残る社跡で行われる神事は800年前に武士たちが行っていた狩猟祭の名残でもある。人々の山への畏敬の念が今に伝わる一方で、草原には本来の役目を終えた建築群が一つ、二つと増えている。 そのまま放置された無人の建造物は、現代の活動を後世に伝える新たな遺跡のようにも思えた。
山を覆う霧は一瞬の出来事だ。出ては消え、全てを覆うように見えてもどこかへと消える霧。人間の活動も同じだろうか。古い史跡も、現代の建物跡も、山の表面に作られた一過性の存在に過ぎない。
山の持つ長い時間軸の中で、霧の先には、はじまりはなく、終わりもない。
あとに残る、あるいは埋れていく霧のあとを探し、私は道を辿っている。
[関連イベント]
トークイベント
日時: 11月1日(火) 18:30〜20:30
登壇者: 阿部祐己(写真家)×小原真史(映像作家、批評家/IZU PHOTO MUSEUM 研究員)

スケジュール

2016年10月26日(水)〜2016年11月8日(火)

開館情報

時間
10:3018:30
休館日
日曜日
最終日は15:00まで、年末年始・ゴールデンウィーク・お盆は休館
入場料無料
会場銀座ニコンサロン(ニコンプラザ内)
http://www.nikon-image.com/activity/exhibition/salon/
住所〒104-0061 東京都中央区銀座7-10-1 STRATA GINZA 1F ニコンプラザ銀座内
アクセス東京メトロ日比谷線・都営浅草線東銀座駅A3出口より徒歩3分
電話番号03-5537-1469
関連画像

各画像をタップすると拡大表示します