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[画像: 森洋史 「Memories #1」 (2014) アクリル絵具、ウレタン塗装、銀鏡塗装、UVシルクスクリーン印刷、アルミパネル 163.0 x 224.0 x 3.2cm 2014 木之庄企畫蔵]

「project N 68 森洋史」展

東京オペラシティ アートギャラリー
終了しました

アーティスト

森洋史
光を反射して輝くゴージャスな画面。西洋の古い宗教画や誰もが知る名画を思わせる構図ですが、人物はアニメのキャラクターに置き換えられ、その質感は不自然なほど均質な、真新しいおもちゃのようです。どこかで見たことがあるという懐かしさと、それでいてなにか違うと感じる心地の悪さの間で、観る者は困惑し、立ち止まってしまいます。森洋史の絵画には、つるりとした実際の表面とは裏腹に、人の目を引いて離さないなにか粘着質なものが付されているかのような、得体の知れない「引き」を感じずにはいられません。いったいこの絵画の粘着質はどうして生まれるのでしょう。森の作品の骨組みをなしているのは、東西の名画や有名な映画のワンシーンなど、人々の間で好ましく共有されるイメージの数々です。ディテールは漫画調に加工され、登場する人物の姿はこれまたよく知られたアニメの主人公にすげ替えられています。モチーフを既存のイメージから採る手法はシミュレーショニズムの例を挙げるまでもなくもはや珍しいことではありませんが、森の絵画はその系譜に連なるものであることは疑いようもないでしょう。作品には、イメージにオリジナルを求めることの不可能と無意味さを端から悟っているインターネット世代の画家に特有の、醒めた客観性がただよいます。そもそも森が流用にあたって既存のイメージとして扱っているのは、オリジナルの絵画でも映画でも、インターネットや印刷によって何百万回と複製されてきたイメージでもなく、それらを見た人々の記憶の中にある像、いわば「イメージの亡霊」です。情報にあふれた日常の中で、私たちはそれが亡霊であることすら忘れたまま、オリジナルの持つ権威や崇高性、あるいは卑近さを注釈としながらそれらのイメージを共有しています。森の画面にからめとられるように引き寄せられるのは、本来まったく異なる文脈をもつ別個のイメージが、その文脈を引きずったままなかば強引に融合されていることによる違和感の先に、そのことによって私たちが認識していたイメージ自体実体があるものではなかった、と勘づく時なのかもしれません。

スケジュール

2017年7月8日(土)〜2017年9月3日(日)

開館情報

時間
11:0019:00
休館日
月曜日
月曜日が祝日の場合は開館し翌火曜日休館
年末年始休館
入場料
会場東京オペラシティ アートギャラリー
http://www.operacity.jp/ag/
住所〒163-1403 東京都新宿区西新宿3-20-2
アクセス京王新線初台駅東口より徒歩3分、小田急小田原線参宮橋駅より徒歩11分、都営大江戸線西新宿五丁目駅A2出口より徒歩12分
電話番号050-5541-8600 (ハローダイヤル)
関連画像

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