終了した展覧会・イベントです

村井祐希「村井のいっぽ」

MAHO KUBOTA GALLERY
終了しました

アーティスト

村井祐希
MAHO KUBOTA GALLERYは23歳の鬼才、村井祐希のまったく新しい概念と物理的な成り立ちによる絵画群を紹介いたします。 村井の表現世界の恐るべき突破力は、多摩美術大学在学中の2015年に初めて公に作品を発表して以来、すでに3つの個展と瀬戸内国際芸術祭を含む17の展覧会で作品を発表し、日本国内の重要な若手アーティスト公募展3つで立て続けに受賞という濃密なキャリアにも現れています。制作の実践だけでなく、過剰なまでのテキストの執筆、そしてそのライフスタイルも含め、若くしてすでに全身芸術家である彼の制作の実践は果たしてコマーシャルギャラリーというアートの一つのプラットフォーム上で成立するのでしょうか。この個展はそういった視点からも問いを投げかけるものであります。村井はこれまでも既存の絵画のあり方を突破するための作品群を制作し続けてきました。その命題に挑戦すべく自ら開発した最大の武器が、オリジナルのメディウム、「オムライス絵具」です。既存の絵画のメディウムの多くが絵画の枠組みの中で表層の視覚情報を操作する画材に過ぎなかったのに対し、シリコンと油絵具、あるいはアクリル絵具を混ぜ合わせた「オムライス絵具」はそれ自体が主体性をもった能動的なマテリアルであると村井は言います。絵画の表現の土台であるキャンバスからの自立の可能性をこのマテリアルに見出し、村井はこれまでも「着る絵画」、「回転する絵画」、「鑑賞者に踏みつけられ主体を失くしながら再生する絵画」、あるいは「空間を覆い尽くす絵画」実験的かつ偶発性を含む作品群の制作を通して、絵画という永遠なる命題に突破口を見出そうとしてきました。このように自立したオリジナルのマテリアルを用い、そこに偶然性を引き込みながら制作してきた村井は、本展においてはその段階をさらに一歩推し進めてゆきたいと考えています。たとえば「着る絵画」、「回転する絵画」は確かに物理的な枠組みを超えることには成功しているものの、「着る」あるいは「運動体となる」という目的や現象の枠組みの中で成立しているに過ぎない。その目的は作者本人の中にあり、その枠組みをさらに乗り越えてゆくためには別のベクトルの力を加えることが必要となってくると村井は考えます。主体による概念的な枠組みが不可視となるためには他人との関係性という力が有効なのではと考え、村井は同世代のアーティストである庄島明源と野島健一と連日に渡る議論を繰り返してきました。制作の駆動力となる村井自身の主体は庄島との議論の中で変容し、形を失い、その過程を野島が記録してゆく。制作の過程で一旦形成されつつある村井本人の主体を他者の主体により一度抹殺し、表現者自身の主体を無力化することによって絵画を村井のパーソナルな意図から解放しようという実験的な狙いです。ディスカッションのプロセスで揺さぶられる表現の物理的かつ概念的土台が、さらなる議論の中で完全にフォームを失い消失することで、主体が消えオムライス絵具による表現だけが残る。そこに初めて過去の絵画の形式や既存の事象をまったく想起させない、絵画のオリジナルが立ち現れると村井は考えています。過剰さと混沌において鑑賞者を圧倒してきた村井の絵画が、同世代の他者とのディスカッションを通してどのように変化していくのか、そして、それが現実的なアートのプラットフォームで成立しうるのか。「村井のいっぽ」と題されたこの個展で、果たして村井は自らが掲げる課題を解決することができるのでしょうか。表層的なイメージの創出を超え、カオスのように見えながら、最終的には確立された美としての視覚体験を濃密な空間に展開する、挑戦的なプレゼンテーションが展開されます。

スケジュール

2018年6月28日(木)〜2018年7月28日(土)

開館情報

時間
12:0019:00
休館日
月曜日、日曜日、祝日

オープニングパーティー 2018年6月28日(木) 18:00 から 20:00 まで

入場料無料
展覧会URLhttps://www.mahokubota.com/ja/exhibitions/1781/
会場MAHO KUBOTA GALLERY
http://www.mahokubota.com/ja/
住所〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-4-7 1F
アクセス東京メトロ銀座線外苑前駅2出口より徒歩6分、東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅A2出口より徒歩11分
電話番号03-6434-7716
関連画像

各画像をタップすると拡大表示します