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[画像: Yukinori Yanagi, Akitsushima Instruction, 2000 Acrylic on canvas, 97 7/8 x 131 1/4 inches © Yukinori Yanagi]

柳幸典 展

BLUM
終了しました

アーティスト

柳幸典
当ギャラリーでは初となる柳幸典による個展を開催いたします。植民地的支配と戦時中の強制収容といった歴史的史実をテーマにした「Ground Transposition」(1987年)、海戦や暴力の歴史をテーマとした「Pacific K100B」(1997年) といった作家の代表的な作品群を取り上げた、吉竹美香キュレーションによるロサンゼルスの当ギャラリーで二会期に渡って日本美術を歴史的に検証した「パレルゴン:1980年代、90年代の日本の美術」に続き、本展でも柳の取組みを紹介いたします。
柳は、制度的・国家的統制のシステム、国の境界、植民地化、民族離散、難民危機といった事象を扱い、政治的に押し付けられたナショナリズムの表象や、「不変の象徴的な記号」といったテーマに取り組んできました。この度、本展で発表される作品群は、新たなコンセプトに取り組むようになった、1990年代後半から2000年代初頭にかけて制作されたシリーズと関連しています。この時期から、柳は、隠れた戦争の歴史を掘り起こす探索の場として太平洋という場所に興味を持つようになりました。
本展は、第二次大戦中の大日本帝国海軍の水上機母艦であった、1944年9月に米軍機による爆撃を受け、現在もフィリピンのブスアンガ島に位置するコロン湾深くに沈む、秋津洲 (あきつしま) を模った鋳鉄製の立体作品「アキツシマ50·I / II」 (2019年) を中心に、展開していきます。同作品タイトル中の「50」とは、本作品が原寸大の1/50のレプリカであるということを意味し、「II」は、2000年に発表され、現在は広島市立現代美術館に所蔵されている同タイトル作品の新たなバージョンであることを示しています。さらに本展は、キャンバス作品「アキツシマ・インストラクション」、柳が、母艦・秋津洲の爆沈地でのスキューバダイビングによって行ったフィールドワークで撮影した記録を元にしたドローイング作品「ダイビング・ログ (アキツシマ)」、写真作品「アキツシマ (BOW)」ならびに「アキツシマ (GUN)」と共に構成されています。
少年時代の柳に太平洋戦争の面影を初めて意識させた玩具であった戦艦のプラモデルキットをモチーフとした「パシフィック」と名付けられたシリーズ (1997年) は、「アキツシマ」と同様のテーマを持った作品です。プラモデルキットの縮尺を拡大させた鋳鉄製の立体作品は、戦争に革命をもたらした戦艦建設という技術的進歩を示唆する、そのパーツの細部一つ一つを物的に浮かび上がらせることで、暴力の集団的歴史についての再考を我々へと提起するのです。
柳の作品群は、オーバリン大学内アレン記念美術館 (オハイオ州)、ハーバード大学内フォッグ美術館 (マサチューセッツ州ボストン) 、ルイジアナ近代美術館 (デンマーク・フムレベック)、東京都現代美術館、ヒューストン美術館 (テキサス州)、ニューヨーク近代美術館、MACAN 美術館 (ジャカルタ)、ウィーン・ルートヴィヒ財団近代美術館、オーストラリア国立美術館 (キャンベラ)、フィラデルフィア美術館 (ペンシルバニア州)、クイーンズランド・アート・ギャラリー (ブリスベン)、ラチョフスキー・コレクション (テキサス州ダラス)、テート・ギャラリー (ロンドン)、横浜美術館をはじめとする世界中の美術機関に所蔵されています。2020年には、30年以上に渡る作家のこれまでのキャリアを代表する作品群を紹介する大規模な個展の開催を、BLUM & POE (ロサンゼルス) で予定しています。

スケジュール

2019年11月2日(土)〜2019年12月21日(土)

開館情報

時間
12:0018:00
休館日
月曜日、日曜日、祝日
入場料無料
展覧会URLhttps://www.blumandpoe.com/exhibitions/yukinori_yanagi
会場BLUM
https://blum-gallery.com/
住所〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1-14-34 原宿神宮の森 5F
アクセスJR山手線原宿駅竹下口より徒歩1分、東京メトロ千代田線・副都心線明治神宮前駅2番出口より徒歩2分
電話番号03-3475-1631 
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