カワヲワタルは1982年青森県生まれ、2012年に多摩美術大学表現学部造形学科を卒業し、同年のYOUNG ARTIST JAPAN Vol.5に於いて当ギャラリーの審査員賞を受賞、2015年には第6回アダチUKIYOE大賞を受賞、Projectsでの当ギャラリーでの個展は2回目の開催となります。作品は主に女性をモチーフに、その周囲に赤い糸がまとわりつくような作品を描き、1回目の個展では「相反する要素が屹立するギリギリの地点に辿り着きたいと思いながら、線を引き、面を塗り、また線を引くという作業を繰り返し」たと語り、糸状の赤い線は衣装というよりも血管を思わせ、内面の意思を象徴的に表わしているようでした。近作では、線描でありながら線そのものを幾分太くし、人物は抽象性を増してその姿態や手足に誇張された緊張感があり、そうした緊張感は自己と対立しあるいは同調する他者を意識させ、形態を生み出す一本の線と共に、作品に緊迫感を生み出しています。今展のタイトルを「くくる」としたのは、物や言葉をくくるというより、今までの創作活動をまとめるという意味ですが、作品の中には赤い線を排し別の要素を組み入れた作品もあり、新たな世界を切り開こうとする意欲に満ち、改めて今展を起点にして飛躍したいとの思いが込められています。今回は短期間での展示となりますが、お見逃しなくご高覧いただければさいわいです。