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塩原有佳 「図像の手触り」
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塩原有佳 「図像の手触り」
関内文庫
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アーティスト
塩原有佳
関内文庫は当初より一貫して展示とアーカイブとを一続きに捉えた企画を展開してきた。その成果の一端として、Webサイトにこれまでの企画展に出展された作品のアーカイブ・データを公開するべく目下準備中である。
アーカイブ(archive)という言葉の語源は古代ギリシア語の「アルケイオン(ἀρχεῖον)」――「アルケー(ἀρχή)」をする人(支配者)すなわち最高官職「アルコーン(ἄρχων) 」のオフィスのことであり、これが複数形になれば「公的記録」という意味になる――であるという。
まさに記録は権力である。記録が残っているもの、たとえば美術館に収蔵されていたり、雑誌に批評が書かれていたり、コレクターが大切に保管していたものだけが歴史記述の対象になり、記録に残らない作品は美術史に位置付けられない。
そして、美術アーカイブにとって、作品の写真は重要な要素である。もし現物が失われても、写真さえ撮っておけば、その作品がたしかに存在したという記録だけは残るからである。だが、写真ほど美術作品の見た目や鑑賞体験を損なう媒体はない。絵画などの平面作品を撮影する行為を専門的には「複写」と言ったりするけれども、その複写の過程で抜け落ちてしまう情報を、私たちはどうやってアーカイブすればいいのだろうか。
塩原の作品は様々な図像や文様を引用して画面が構成されている。のみならず画面は引用されたものごとに光沢具合の異なる絵具によって描かれている。(たとえば塩原は、 デルフト焼の文様を連想させるストロークを描くにあたり、まるで陶磁器のような画肌を画面に与えている。)このような光沢の具合というものを写真に撮影して記録することはとても難しい。なぜならば一般的に絵画の「複写」を行うときには画面の光沢により生じる反射を極力排除して撮影するからだ。
作品に引用された図像や文様の数々を調査して、それらの転居や意味を明らかにしていく作業も、なるほどアーカイブである。が、他方で、画面上の質感のような、写真に写りにくいもの、写すことができないものをどうにか記録していくこともアーカイブの営為であるには違いない。
記録は権力である。だが、記録はあくまでも出来事の傍証にすぎない。図像は写真で複写できる。だが質感は複写できない。塩原の絵画が持つ手触りは……もちろん複写不可能だ。記録可能な対象と不可能な対象。その差異に目を向ければ、かつての美術史が構築してきた権力の構造も見えてくるはずだ。
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スケジュール
2019年9月13日(金)〜2019年9月16日(月)
開館情報
休館日
イベントにより異なる
備考
開館時間: 13:00〜18:00、初日は18:00〜20:00
入場料
無料
展覧会URL
http://kannaibunko.com/event/314
会場
関内文庫
http://kannaibunko.com/
住所
〒231-0013 神奈川県横浜市中区住吉町3-28 住吉町新井ビル408
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アクセス
地下鉄ブルーライン関内駅3番出口より徒歩3分、JR根岸線関内駅北口より徒歩5分、みなとみらい線馬車道駅7番出口より徒歩6分
関連画像
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#絵画・平面
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