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[画像: Miya Ando, Unkai (Sea of Clouds) 48.89.5, 2020, dye on aluminum composite, 121.9 x 227.3 cm]

ミヤ・アンドウ 「空」

MAKI(天王洲)
終了しました

アーティスト

ミヤ・アンドウ
この度MAKI Gallery / 天王洲,東京 では、ニューヨークを拠点に活動するミヤ・アンドウの個展「Kuu / 空」を開催いたします。アンドウは金属や布、木材などさまざまな素材をʻキャンバスʼに、森羅万象を描いています。平面、立体、そしてインスタレーションなど彼女の作品は形態も多様です。しかし一貫しているのは、異なる文化や要素を作品に共存させていることです。その背景には、日本人とアメリカ人を両親にもち、2つの文化を深く理解していることがあります。そのなかで育まれた自然観・世界観は、彼女の表現を豊かにしています。「Unkai(雲海)」や「Kumo(雲)」など、アンドウの描くモチーフは、形があるようでない、いわば現象です。彼女の作品はまるで、私たちが見ている物が本当に存在するのか否かを問いかけているようです。実際、水蒸気の塊である雲は常に形を変え、ひとときも同じであることはありません。さらに興味深い点は、それらが硬質な金属に描かれていることにあります。アンドウは、このように異なる要素を1つの作品として昇華させていますが、そこで刹那的な存在の美しさ、はかなさを私たちに思い起こさせるのです。
金属さえも、長い年月のうち変化を余儀なくされます。しかしながらアンドウはそこに潜む光に魅了されています。「金属という素材に私はとても関心をもっています。短期間での物質的変化はほとんどないのですが、観る人たちが動くことによって光が反射し、一刻一刻と見え方が変わります。光を放つ存在だけでなく、銀やアルミは目の前の世界を映し出すことで、そこに存在しなくなる、言い換えればvoid(空)のような在り方となる点も興味深いです」(アンドウ)。金属への深い理解は、彼女の祖先が岡山県の刀匠であったということも影響しています。一方で今年になってアンドウは伝統的な染料である藍も作品に取り入れました。深い藍染の色は、夜、海、宇宙を想像させます。何もないようでありながらすべてを包み込む色彩は、日本の伝統的な色でもあり、作家にとって日本、とりわけ幼少の頃住んだ岡山県と結びつく色なのです。
本展のタイトル「Kuu / 空」は、こうしたアンドウの作品を語るうえで、包括的な概念といえます。「すべてのものは永続性がなく、固定した性質をもちません。その意味でそれらはʻ存在しないもの=Kuu(空)ʼと考えることもできるでしょう。実際の天空としてのʻKuu(空)ʼにも、すべてを受け入れることが可能な空(から)の状態を表すʻKuu(空)ʼにも興味があります。つまりはaether/air/void*1などと呼ばれる世界をつくる基本要素としてのʻKuu(空)ʼは、私にとって常に強い興味を抱かせるものであり、焼杉作品、銀の鏡の作品、藍の作品、すべてはこの概念を探求しているのです」(アンドウ)。これまでにない規模で開催される本展において、ギャラリーの空間はアンドウの感性が紡ぎだす水、土、木、火、空、雲、蒸気、森、月、銀河で満たされるでしょう。今年、ロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)をはじめ多くの美術館に作品の収蔵が決まるなど、世界的に注目度の高いアーティスト、アンドウをご紹介できるこの機会に、ぜひ彼女の世界観を感じていただけますと幸いです。
*1 ギリシャ哲学で提唱されていた「空気・火・土・水」の四大元素にアリストテレスが「エーテル」を加え天体を構成する要素として提唱した。インドのアーユルヴェーダでは、「空・風・火・水・地」を五大元素として物質の状態を表す。仏教で説かれる五大元素は「地・水・火・風・空」であり、この時の空は void と記される。

スケジュール

2020年10月31日(土)〜2020年12月26日(土)

開館情報

時間
11:3019:00
休館日
月曜日、日曜日
入場料無料
展覧会URLhttps://www.makigallery.com/exhibitions/3744/
会場MAKI(天王洲)
https://www.makigallery.com/ja/
住所〒140-0002 東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 1F
アクセスりんかい線天王洲アイル駅B出口より徒歩9分、東京モノレール天王洲アイル駅南口より徒歩10分、京急本線新馬場駅北口より徒歩9分、JR品川駅港南口より都営バス「天王洲橋」下車徒歩4分
電話番号03-6810-4850
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