終了した展覧会・イベントです

「かむかふかむかふかむかふかむかふ」

ゲンロン五反田アトリエ
終了しました

アーティスト

川﨑豊、圡金、堀江理人、松岡湧紀、宮野かおり、宮野祐
あるきっかけがひとを、出来事を、思想をつよくひきつけ、頭から離れなくする。理解しよう、解決しようとしてもそれが困難であればあるほど、そのうち自分の内側にもその対象が入り込んでくるあの時間。ここでおきていることは、普段われわれが何気なく使っている「考える」の表面的な営みとどこか距離を感じる。
批評家の小林秀雄は「考える」ということについて、本居宣長の論を敷衍する形で以下のように述べている。
「考える」の古い形は「かむかふ」です。「か」は特別に意味のない言葉です。「む」は身、すなわち自分の身です。「かふ」は「交わる」ということです。だから、「考える」ということは、自分が身をもって相手と交わるということです。……ある対象を向うに離して、こちらで観察するという意味ではありません。考えるということは、対象と私とが、ある親密な関係へ入り込むということなのです。(小林秀雄『学生との対話』新潮社、2014年)
親密性形成のもととなる愛着の発生が、母と子の肌のふれあいから起こるように、他者と、異なる思考とに思いを巡らし、つながろうとする行為は、言葉の応酬や知識の組み合わせにとどまらない。そこには非常に身体的な行為としてのイメージが伴う。
作品制作とはまさに、このフィジカルな「かむかふ」の実践ではないか。本展の作家は共通して、似ているようでいて異なる他者や信条、価値観等、緩くつながりながらも、わかりあおう、ひとつになろうとしてもどうしてかそれの叶わぬ対象をテーマとしている。作品を媒介に、対象との、身をもった交わりを試みているのだ。
その作家の「かむかふ」痕跡である作品。これが鑑賞者の前にさしだされたとき、そこに何が起こるのだろうか。えてして私たちは予定調和を守るために、積極的に自分の内側を明かすことのない生活を送る。素顔を仮面で隠し、日々を当たり障りなく過ごそうとする。しかし、それでもそこにある秩序を乱すことをいとわないほどに、どうしてもさらけ出し、表現することの止められない思いが発露することがある。
それが必ずしも打って響くとは限らない、それでも差し出さずにはいられない、作家それぞれの「あいだ」に対する切実な問いかけ。それは展示空間において鑑賞者を共時的な場に呼び込み、「かむかふ」ことによる連続したつながりへと開くのだ。
本展は、他者と他者をフィジカルに結び付け、ゆるやかなつながりを生む、作品の「かむかふ」装置としてのある試みである。

スケジュール

2020年9月13日(日)〜2020年9月20日(日)

開館情報

休館日
イベントにより異なる
備考
開館時間 15:00〜20:00
入場料無料
展覧会URLhttps://genron-cafe.jp/event/20200912/?fbclid=IwAR1mgTwP1ixq7pP07zQnU50Ax7HfHX3qe4VBhRwkLSGtIcvRshubLzMQoZM
会場ゲンロン五反田アトリエ
http://school.genron.co.jp/gcls/
住所〒141-0022 東京都品川区東五反田3-17-4 糟谷ビル2F
アクセス都営浅草線五反田駅A6出口より徒歩4分、JR山手線・東急池上線五反田駅東口より徒歩7分
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