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[画像: Justine Hill, Feet, 2020, Acrylic, oil stick and colored pencil on canvas,183.0x274.0cm]

ジャスティーン・ヒル 「Pull」

MAKI
終了しました

アーティスト

ジャスティーン・ヒル
*MASAHIRO MAKI GALLERYは、政府の緊急事態宣言延長に伴いギャラリーは休廊を延長させていただきますが、引き続きオンラインビューイングルーム内にて展覧会を公開してまいります。

この度 MASAHIRO MAKI GALLERY はニューヨーク、ブルックリンを拠点に活動するジャスティーン・ヒルの日本で初めての個展「Pull」を開催いたします。ヒル独特の不定形のキャンバスに色彩豊かに描かれた作品14点は、私たちの想像力を掻き立て、様々なインスピレーションを与えてくれるでしょう。

ヒルは、プリミティブな形、計算された色彩で構成される抽象的な表現で、独自の境地を開いているアーティストです。彼女の作品を特徴づけるのは ‘Cut Outs’ と呼ばれる不定形に切り取られたキャンバスを組み合わせたもので、ヒルは自身の作品を‘風景画’として見ています。制作のなかで一番時間をかけるのは形であり、それは何度もスケッチを重ねたうえで選び出されます。シンプルに研ぎ澄まされた線は、何かを具体的に特定しているのではなく、多様な意味を感じさせます。あるいは人類が古くから使ってきた記号をそこに見ることもできるでしょう。実際、最近のモチーフである‘足’はエジプトの古代文字ヒエログリフを参照しています。綿密に練られた線が決定されたのちに、ペインティングの作業に入ります。ペインティングの作業では、色の配分や明るさがコントロールされ、さらにメディアを複雑に組み合わせ、様々な透明度を取り入れることによって、独創的で鮮明な色のレイヤーを生み出します。ペインティングでは、グラフィック的な要素やパターンで‘マークメイキング’を施し、それは作品にある種のリズムを醸し出しています。これら装飾的な要素についてヒルは、1970年代のアートに影響を受けていると話します。特にシンシア・カールソンやロバート・クシュナーといった、「パターン・アンド・デコレーション※」のアーティストからの影響は大きいといいます。近年の作品では、グラフィック要素を減らしパターンを規則的に描くことで、より抽象性を生み出しています。さらにヒルは形を合理的に組み合わせることや、コラージュを取り入れること、ペインティングのメディアを多様化するなど、さらに作品を発展させています。

「Bookends」は、初めて形の組み合わせを合理化させた作品です。この点について彼女は「各々の作品は、三つ-グループを作るために必要最低限の数-のパーツから成り立ち、パーツを合わせると新たな安定したフォルムになります」と語ります。さらに「アーティストとしてずっとルールに着目してきました。我々が住む世界の最も勢力的なルールは、様々な意味で我々が自ら作ったものではありません。物理的な力は社会を制御するルールを自然と覆します」としています。自然がもたらすルールがヒルのなかで意識され、より制作コンセプトが明確になったことで、本展覧会のタイトル「Pull」が導き出されました。「引力と結びつけて作品(ペインティング)について語ることが多いです。だれもが無意識に従っている力だからです。作品自体をコントロールし、どのように制作されなければならないのかもコントロールする力が作品に内在している、という考え方が好きです」(ジャスティーン・ヒル)。

彼女が制作の上で大事にしている点について「何よりもパーツの配置です。どのように各々の形が繋がり、お互い関連付けられるのかが、一枚のペインティングで定義されます。作品を整えて、完成したフォルムを保ってくれる力やエネルギーを知ることが、作品を理解する鍵です」と語るように、これらフォルムが引き合う力も彼女の作品のテーマといえるでしょう。そうした観点で見てみると、‘風景画’と自らが称する作品は、平面的でグラフィカルな要素が強いものであるにも関わらず、立体的な動きを感じさせ、まるで舞台上で繰り広げられる演劇を観るような高揚感に包まれます。

最新作の「Stilts」と「Feet」では、これまでの作品の変化が包括的に表現されるとともに新しい試みもなされています。「Feet」に関しては、本展にも展示される「Hold the capstone」シリーズで現れた‘足’のモチーフがさらに明確に打ち出されています。そして、より長方形に近いフォルムにまとめられた作品全体に多くの足が現れることで、どれ程作品が擬人化されうるか、というアイデアが試されました。「Stilts」ではさらに、‘足’の存在は増し、方向性をもって大きく踏み出しています。この作品には、‘足’が自由に動きまわれるかのように、周囲に広い空間が見られますが、水平線のような長い弧を描くパーツがその空間の確保に一役買っています。

ジャスティーン・ヒルの日本初の個展となる今回の展覧会。ここ数年、アーティストに湧き起こったアイデアの変遷を見ることができ、またこれからも進化するであろう作品を堪能できる機会となっております。ぜひ、ギャラリーにてご高覧いただけますと幸いです。

※1970 年代半ばから 1980 年代初期までのアメリカの芸術運動のひとつ。‘P & D’ または ‘新しい装飾性’ とも呼ばれる。

スケジュール

2020年4月14日(火)〜2020年5月23日(土)

開館情報

時間
11:3019:00
休館日
月曜日、日曜日
展示期間以外は不定休
備考
4月14日から5月8日は事前予約制 (土曜、日曜、月曜休廊)
入場料無料
展覧会URLhttps://www.makigallery.com/exhibitions/2104/
会場MAKI
https://www.makigallery.com/ja/
住所〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4-11-11
アクセス東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅A2出口より徒歩2分、東京メトロ千代田線・副都心線明治神宮前駅5番出口より徒歩6分、JR山手線原宿駅東口より徒歩10分
電話番号03-6434-7705
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