《スーツケース(World Membrane: Disposal Containers - Suitcase)》というタイトルの作品は、1992年に東京のP3 art and environmentとシドニーのARTSPACEで行われた個展「地球の皮膜/処理容器」と「被膜世界:廃棄物処理容器」を発展的に受け継いだものです。作品を構成する透明なスーツケースの中に詰め込まれているのは、「事故空気/有害粒子処理缶」「使用済み注射針廃棄コンテナ」「生物災害破棄物袋」「有害液体漏洩・流出処理キット」「生物災害物質廃棄コンテナ」「科学実験施設、病院などのガラス類廃棄箱」「放射線防護服」「放射性廃棄物コンテナ」「実験動物用廃棄コンテナ」などです。三上は、これらの容器を「皮膜=被膜」として捉えたうえで、空港の手荷物検査場を想起させる空間の演出によって「移動」を暗示しました。