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[画像: Jean-Michel OTHONIEL Kiku - Ōtaniro (Earthen yellow-red-brown), 2020, Mirrored glass, stainless steel, 49 x 49 x 47 cm, Unique © Jean-Michel Othoniel / JASPAR, Tokyo 2020 Photo: Claire Dorn / Courtesy of the artist and Perrotin]

ジャン=ミシェル・オトニエル 「《夢路》DREAM ROAD」

ギャラリーペロタン東京
終了しました

アーティスト

ジャン=ミシェル・オトニエル
※本展示は事前予約制となっております。詳細は公式ホームページよりご確認ください。
ペロタン東京はこのたび、フランス人アーティスト、ジャン=ミシェル・オトニエルによる新作の個展を開催いたします。同アーティストの日本でのギャラリー展は今回が初となります。本展では、初公開となる新シリーズであるガラスの立体作品や、金箔を用いた絵画作品が展示されます。
2012年に原美術館にて開催された回顧展以来初となる日本での個展において、オトニエルは静観的なアプローチで自然の探究を続けており、抽象的で五感に訴えかける作品を提示します。《Kiku》は菊花や、日本の古典文化における菊の象徴的意味にインスピレーションを得た作品です。
このインスタレーションでは、立体作品が尊く神聖な護符として、カリグラフィーの絵画が聖像として展示されます。オトニエルはペロタンのギャラリー内に自身が「夢路」と名付けた夢の世界である、菊の花が咲く閉ざされた禁断の園を再現するのです。西暦900年代の日本において編纂された歴史的な和歌集である『古今和歌集』や『後撰和歌集』に登場する「夢路」という言葉には、「夢をみる」と「愛する人と夢で逢う」という二重の意味があります。
自身の展覧会を「夢路」と名付けることで、オトニエルはそのロマンチックな世界観を覗かせるとともに、感情への鍵となるのは花のような素朴なものであることや、それが空想と想像への«夢の路»であることを指し示しています。これは私たちを取り巻く驚異的な物事に気付かせる、ひとつの世界の見方といえるでしょう。オトニエルにとって、現実とは、象徴と驚異の絶え間ない源なのです。
「菊の花は日本で最も重要で象徴的な花のひとつだといわれています。忍び寄る冬もよそに、秋に咲く花として知られ、長寿と若返りの象徴となりました。周囲がすでに眠りにつき始めているにも関わらず、驚異的に闘い、あらゆる困難を物ともせず咲く花という考え方をとても気に入っています。一年の間で最も遅く咲く花のひとつです。」ジャン=ミシェル・オトニエル
元来、菊は薬草として8世紀に中国から日本へと伝来し、平安・鎌倉時代には不老長寿の象徴として皇室や公家、武家が愛でたといわれています。かつて、菊が9月の開花期を迎えると、人々は夕方菊花を布で覆い露を集め、翌朝その芳しい濡れ布で身体を拭くことで精神を浄化させ、長寿を祈りました。この習慣に基づき、菊と露の組み合わせは和歌をはじめとする古典文学に繰り返し登場するモチーフとなりました。こうした作中では、菊花の«永遠の命»は、脆く儚い人生への対比表現として、愁いとともに美化されています。
立体作品《Kiku》の形状は有機的かつ曖昧で、植物と«結び目»の中間にあり、愛や、日本文化における«結び»の伝統美をも参考にしています。本作はオトニエルの立体作品に一貫した魅惑的な視覚体験を提供するとともに、鏡面の結び目の謎めいた形状は、その眩しく光り輝くガラスの色彩が観る者の目を奪うように、«罠»の宿命的な誘惑性を思い出させるでしょう。
「私は常に全感覚を刺激する作品を制作することを宣言してきました―例えば、舐めたり触ったりしたい欲求や«緊縛美»を呼び起こす形状です。また、観る者の視覚と戯れる鏡面ガラスの魅力も、ひとつの罠として機能しています。なぜならば、観る者は目の前にある«結び目»の立体作品に自らの反射を観ることにより、自身の想像力を解放できるからです。この官能的な花々には目に見える以上のものがあり、ボードレールの『悪の華』のように、魅力的であると同時に危険でもあるのです。«文化的な自然»と呼ぶこともできるでしょう。」ジャン=ミシェル・オトニエル
更に、大型のキャンバスを用いた絵画作品では、白金箔の層の上に黒インクで抽象的なイメージを描き、明暗の感覚で遊んでいる様子が見受けられます。また、オトニエルが描く巨大で幻覚のような花の影は、この世界を案ずる視点にも言及しています。ギャラリーのメインスペースに展示された眩しく光り輝く園に相反する、これらの暗く抽象的なカリグラフィーは、観る者を純粋な抽象と熟考の世界へと誘います。絵画作品《Kiku》は、オトニエルが作家活動開始当初より実践の中核とし続ける«ドローイングへの愛情»を示し表す作品となっています。

スケジュール

2020年9月16日(水)〜2020年11月7日(土)

開館情報

時間
11:0019:00
休館日
月曜日、日曜日、祝日
備考
事前予約制(詳細は公式HPをご確認ください)
入場料無料
展覧会URLhttps://www.perrotin.com/exhibitions/jean-michel_othoniel--dream-road/6935
会場ギャラリーペロタン東京
住所〒106-0032 東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル1F
アクセス都営大江戸線・東京メトロ日比谷線六本木駅1a・1b出口より徒歩1分
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