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「TANBA - 10人の作家による茶陶展 Ⅲ - 」

柿傳ギャラリー
終了しました

アーティスト

市野信水、市野雅彦、今西公彦、大上伊代、大西雅文、加古勝己、清水一二、清水剛、仲岡信人、ピーター・ハーモン
市野信水氏は、いま丹波焼における茶陶の第一人者です。父である初代信水氏同様、その卓越した轆轤技術には定評があります。筒型の「丹波茶碗」は、丹波焼の伝統的な技法を駆使し、半地下式の窖窯で焼成したものです。正面にはかせた灰混じりの自然釉が掛かり、丹波特有の緋色と降り灰が、素朴な味わいを醸し出しています。

市野雅彦氏は、現代丹波を代表する陶芸家です。平成21年以降、丹波の伝統技法を用いて、自身の造形性と丹波の伝統を融合させた作陶へと向かいます。この「丹波埦」は、彼が得意とする球体の造形を基軸としたもので、口造りに変化を持たせています。上のイメージ画像に示されるように、シンプルながら、モダンな美しさを備えています。

今西公彦氏は、土に拘(こだわ)り、自ら山に土を採りに行き、丹波特有の蛇窯で焼成しています。これまで黒丹波や白丹波に挑戦してきましたが、このやや楕円形の「丹波茶盌」は、白丹波に挑戦しますが、焼成温度が高かったため、鉄分が噴出して刷毛目文様のようになったものです。傑作はこうした偶然から生まれるものかも知れません。

大上伊代さんは、日本の縁起物や妖怪などに着想を得た「おどろかわいい」人形で注目される作家です。白象はお釈迦様の聖母・マーヤ夫人の夢に現れ、お釈迦様の誕生を予言したといいます。昔から象は神聖な動物で、豊穣の象徴と考えられてきました。だからでしょうか、「白象盌」からは、なんともいえない神々しさが感じられます。

大西雅文氏の「赤丹波茶盌」は、丹波特有の赤土部と呼ばれる土を用いたものではなく、これまでの丹波にはなかった茶碗です。丹波の原土に顔料を混ぜ、登り窯で焚くと赤く発色するのだといいます。赤い器肌には自然釉が掛かり、やや歪んで、なんともいえない造形美を醸し出しています。

加古勝己氏は、これまで赤いベンガラで文様を施した「灰赫(はいかく)」、長石を部分的に掛けて自然な流れを表現した「沫雪(あわゆき)」など、独自の技法に挑戦してきました。「銀赫磁(ぎんかくじ)碗」は、素焼したあと唐草文を蝋抜きで描き、白化粧を掛けて本焼し文様を弾き出したあと、赤で上絵を塗って焼き、さらに銀彩を施して焼くという、大変手間の掛かった製法によるものです。

清水一二氏は、日本伝統工芸展を中心に活躍する陶芸家です。丹波の土に信楽の土などを混ぜて、ピンクや紫などの背景色に抽象的な文様を表現した作品を制作しています。この「白釉盌」は、京都の土を使い、黒釉と白釉を掛け分け、火間を利用して大胆に配した抽象的な文様が魅力的です。

清水剛氏は、平成30年「現代茶陶展」優秀賞、「美濃茶盌展」金賞、令和元年「現代茶陶展」優秀賞受賞のいま注目の作家です。この「丹波水指」は、穴窯による灰被りの焼締め陶ですが、シンプルな中にも、しっかりとした造形性が感じ取れます。とくに、左右の底が少し浮き上がり、重量感のある水指に軽さというか、浮遊感を醸し出しています。

仲岡信人氏の「彩色灰釉水指」は、赤土で成形したのちに白化粧を施し、素焼したあと、口周りに顔料を塗り、灰釉を全体に掛けて焼成すると、白地の上にブルーの釉薬が流れ出して、美しい釉景色が生まれます。また、内側の見込みは、顔料によって濃いブルーとなり、清涼な水を湛(たた)えているかのようです。

ピーター・ハーモン氏の「青白磁風舞茶碗」は、五輪の捻り文から「風舞」と名付けられました。禅語の「巖松無心風来吟」の七文字は、「大きな岩に根をはっている松が奏でる松籟は無策無心故に美しい」という意味ですが、茶の湯の心得を説いた言葉です。そんな風を感じる茶碗です。

スケジュール

2020年6月16日(火)〜2020年6月22日(月)

開館情報

時間
11:0019:00
休館日
最終日は17:00まで
入場料無料
展覧会URLhttps://www.kakiden.com/gallery/archives/37966/
会場柿傳ギャラリー
http://www.kakiden.com/gallery
住所〒160-0022 東京都新宿区新宿3-37-11 安与ビル B2F
アクセスJR新宿駅中央東口より徒歩1分
電話番号03-3352-5118
関連画像

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