久保田智広 + 畑山太志 「attunement」

THE 5TH FLOOR(花園アレイ)

poster for 久保田智広 + 畑山太志 「attunement」
[画像: ©岡田将充(OMD)]

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私たちは自らの輪郭を描き、境界を定めることで他者との関係性の中に自らを位置づけます。そしてそこに横たわる差異を通して自らを規定します。しかしこうした私たちのあり方にはさまざまな限界が押し寄せています。このような状況において私たちに必要なのは、その境界をほぐし、あらゆる他者に対する理解の方法を考え直すことではないでしょうか。

本展『attunement』は、カリブ海のマルティニーク出身の詩人エドゥアール・グリッサンが提唱した〈共与(ドネ=アヴェク)〉の実践を他者理解のモデルとし、久保田智広と畑山太志の二人の作家の表現を通してその可能性を探ります。グリッサンは『〈関係〉の詩学』(2000)において、自らを起点として一方的に他者の「輪郭をつかみそれをみずからに引き戻すような」形の自己中心的な理解のモデルに対し、自らを他者に委ねるような理解のモデルである〈共与(ドネ=アヴェク)〉を提案しました。これは他者を起点にした理解の方法であり、すでにある「他/多」に対して自らを重ね合わせることを意味します。

モノを「捨てる」という行為をとりまく集団的判断をテーマに制作を行う久保田は、自身が他の作家と共同で運営するスタジオに溢れるモノを「廃棄」するという実践を通して、共同体としての未来のあり方を問いかけます。「何を残すか/残さないか」という判断を未来における財産/負担をめぐる問題として彼は捉え、そのプロセスにおける、自らを「多」の一部として重ね合わせる意識のあり方を提案します。

畑山は視覚では捉えることのできない自然の場に潜む「気」のような存在を、白という禁欲的な色彩と感覚的かつ大胆な筆致を通して画面上に浮かび上がらせます。彼が作り上げる静かな画面は、そこに描かれる対象だけでなく、描かれていない画面の外の空間を同時に前景化します。こうして畑山は空間に身を浸すような感覚へと鑑賞者を誘うことで、自らがその一部であるような「自」と「他」の境界のゆらぎへと促します。

さらに本展では二人の実践の交錯として、コミュニケーション方法としての「言語」を基点に、他者理解の新たな可能性を模索します。「言語の壁」という表現が示唆するように、異なる言語は互いを分け隔て、その意思の疎通を困難にします。しかし、例えば植物や動物が独自の「言語」を持つように、私たちが普段用いる言語とは異なる感覚的な「ことば」−文字や音声に限らずさまざまな要素を含む−に耳を傾けることで、「自」と「他/多」の境界を揺るがすことができるのではないでしょうか。こうした私たちを囲むさまざまな境界を、それぞれ異なる方法でときほぐす二人の試みをぜひご高覧下さい。

メディア

スケジュール

2020年10月03日 ~ 2020年10月25日
開館時間 12:00〜20:00、10月19日〜22日は休廊

アーティスト

久保田智広畑山太志

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