ルシア・ビダレス 「To cool the blue」

タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム

poster for ルシア・ビダレス 「To cool the blue」
[画像: Lucía Vidales, “Aire caliente (Warm air)”, 2020, oil and acrylic on canvas, 90 x 70 cm © Lucía Vidales.]

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タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムは、メキシコ人アーティストのルシア・ビダレスによる日本での初個展を開催いたします。「To cool the blue(青を冷やすために)」と題された本展では、2018年から2020年にかけてビダレスが制作した8点の絵画作品を展示いたします。

ビダレスの作品は、絵画、その歴史、そしてそれが作動する際の特定のレパートリーをめぐる彼女のパーソナルな想像から現れてくるものです。彼女の絵画に私たちが認めるのは、生きている者たちと死んでいる者たちの印であり、画面の流れや色彩の現れや絵具の重なりといった絵画的な現象への即時的な変異の瀬戸際にある四肢や内臓の形象です。ビダレスは物質性とユーモアとの共謀関係に関心を寄せています。だからこそ彼女の作品では、悲劇性と脆く壊れやすい新たな命の生き延びによって呼び起こされる不確かな喜びとが融合し、この世を去った最愛の者たちと生き残った者たちがひとつの世界を織り成しているのです。ビダレスの絵画を彩る色の粒子は、肉体の残余にほかなりません。というのも彼女は、さまざまな印を目に見える形で残し、動きを積み重ねることで、時間の痕跡を画面に刻むからです。抽象表現主義は絵画(ペインティング)と絵(ピクチャー)との間に教条的な境界を打ち立てましたが、ビダレスが描写するドラマの少ない静かな情景は、可塑性の重力によってその境目をぼやけさせ、全体性を回復させるのです。

「この絵画は徘徊する。人当たりの良いエクトプラズムがきっとそうするように。形をさまざまに変えていく、過去を未来に合流させる力を持つ恐ろしい煙として。そこには幽霊たちがいる。絵画という営みのパーソナルな歴史の幽霊たちだ。一人称話法によって壮絶な語り口で伝えられる、姿を消した、目に見えない、あるいは放り置かれたままの想像の切片たち。その豊満と統一の拒否が想起させるのは、奇妙に夜行的で地下棲息的な文体である。私がいますぐ喜んであなたに言ってみたいような何ごとか、つまり次のような内容を述べるために、クラリッセ・リスペクトールはその書き方を用いた。私が洞穴を絵に描くとき、あるいはそれについての文章をあなたに向けて書くとき、いくつかの夢とともにすべてが重苦しくなる――そこから聞こえてくるのは繋がれていない何十頭もの馬たちが乾いた蹄で影を踏み鳴らす音であり、そしてまた私たち、すなわち洞穴と私は、他にどうしようもなく只ここで、やがて私たちを腐敗させる時間の最中に身を置いているのである」
クリスティアン・カマチョ(メキシコ・シティのEdison 137で2018年11月に開催された「The time that will rot us」展のためのテキスト)

ルシア・ビダレスの作品群は、総じて時間という概念と密接に結びついています。彼女の表現活動においては、想像力の介在によってフィクションと歴史が融合し、そこから絵画やグラフィックや彫刻が作り出されていきますが、そのなかで作家が一人称視点から語るのは、複数の世代を貫いて展開するさまざまな物語なのです。キャンバス上では、広範な濃度と透明性を示す絵具のレイヤーが、大胆な筆使いのなかで生命体のような有機性を帯びています。さらにそれは、作品の表現性をより強化するかのように、光や空間との相互関係によって刻々と姿を変えていきます。絵画制作が過去と現在の外傷に形而上学的な豊かさと安らぎをもたらす試みであるならば、ビダレスの画面に盛られた色彩がひとつのシニフィアンとして証言するのは、人間の労力がそのような営みに注がれていく時間的な過程そのものでしょう。

メディア

スケジュール

2020年08月01日 ~ 2020年08月22日
8月13日から17日は休廊

アーティスト

ルシア・ビダレス

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